研究課題/領域番号 |
17K08718
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
沢辺 元司 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (30196331)
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研究分担者 |
池田 仁子 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 上級研究員 (20415508) [辞退]
三重野 牧子 自治医科大学, 医学部, 准教授 (60464707)
副島 友莉恵 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (60596964)
山崎 茉莉亜 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 学振特別研究員 (60776516)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 悪性腫瘍 / アポリポプロテイン(a) / 遺伝子関連解析 |
研究実績の概要 |
1.遺伝子関連解析 本研究の目的は、JPHCコホート研究データを用いて、LPAの遺伝子変異とがん罹患との関連について、また、LPAの遺伝子変異と悪性腫瘍による死亡との関連について調べることである。がん罹患については、主要評価項目として「あらゆる種類のがんの罹患」、副次評価項目として6種類の主要ながん検討し、死亡についての主要評価項目は「あらゆる種類のがんを原死因とする死亡」、副次評価項目としてはがん部位ごとに加え、循環器死亡についても検討することとした。平成29年度には、JPHCコホートの内、遺伝子多型が測定されている9,926例を対象として、ベースライン時点での対象者属性、健診データ、悪性腫瘍に関するデータ、死亡原因、LPA及びその周辺領域のSNPの情報をJPHCコホートデータベースから抽出し、背景因子の確認を実施した。平成30年度は上記LPA遺伝子変異とがん罹患・死亡の関連解析を行った。その結果、全がん罹患では全体で2SNP、女性でさらに1SNP, 男性で1SNP、1領域で関連が示唆された。全がん死亡では全体では関連のあるSNPは認めなかったが、男女で異なったSNPが複数関連しており、男女差がある可能性が示唆された。原発部位別の罹患を見たところ、様々なSNPが候補として同定された。 2.免疫組織化学的検討 平成29年度に様々な悪性腫瘍に対してapo(a)の免疫組織化学的検討を行ったが、その際に用いた一次抗体はKringle type IV領域に対するポリクローナル抗体であった。そこでプロテアーゼ領域に対する一次抗体を用いて蛍光二重染色を行えば、その蛍光シグナル比はKringle type IV領域のコピー数に比例する。そこで、apo(a)プロテアーゼ領域に対する一次抗体を用いて免疫染色を行ったが良好な染色結果を得ることは出来なかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究計画では以下の解析が設定されていた: 1.JPHC cohort 研究:上記の様に計画通りに研究結果が得られた。 2.LPA遺伝子解析法の開発:本年度は、まだ結果が得られていないが、下記の解析を予定している。なおapo(a)値の判明している検体の利用、パルスフィールド電気泳動設備の利用が可能となった。 3.各種悪性腫瘍におけるapo(a)発現の検討:上記の様に計画通りに研究結果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
1.JPHC cohort 研究:解析対象SNPsに対してそれぞれ、がん罹患および死亡に対する生存時間解析を行う。主要評価項目についてはCox回帰、副次評価項目については競合リスクを考慮した解析を行い、結果の解釈を行う。また、関連が示唆されたSNPsについては、さらに複数の交絡因子を調整した解析を行い、関連の頑健性を検討する。 2.apo(a)遺伝子解析法の開発:SNPアレイ情報からKIV2多型を推定する手法の開発を試みる。東京都健康長寿医療センターの剖検例を対象として、PCR法を用いて実験によりKIV2多型のコピー数を決定する。 これらと同検体のSNPアレイ情報を活用して手法の開発を試みる。 3.各種悪性腫瘍におけるapo(a)発現の検討:平成29年度に肺癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、肝細胞癌、肝内胆管癌でapo(a)発現の検討を行っている。最終年度では、有意な関連の得られたその他の癌に関してapo(a)発現を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度、使用を予定していた免疫組織化学的検討のための一次抗体を注文していたが、納期が今年の夏になり、抗体を今年度中に購入できなくなり、差額を生じた。
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