研究実績の概要 |
「メルケル細胞ポリオーマウイルス陰性のメルケル細胞癌(MCPyV(-)MCC)群では、ヒストンH3K27me3修飾が低下する;特に皮膚の扁平上皮癌を合併するメルケル細胞ポリオーマウイルス陰性のメルケル細胞癌でH3K27me3修飾発現が著明に低下する」ことを論文に掲載された(Anticancer Res.2019 39:5573-5579)。 DNA修復異常は癌遺伝子やがん抑制遺伝子の変異を誘導して種々の発癌の原因となるが、メルケル細胞癌におけるウイルス陽性群と陰性群におけるMismatch Repair(MMR)タンパク質であるMLH1, MSH2, MSH6 と PMS2の発現と臨床病理学的因子を比較検討した。その結果、MSH2, MSH6と PMS2の発現が、MCPyV(+)MCC群に有意に高く、MLH1発現では有意差がなかった。さらに、生存率の解析では、MSH6の高発現群がOS,DSSともに有意に予後良好であった。MSH2, MSH6と PMS2の発現が、MCPyV(-)MCC群に有意に低い結果から、これらのMMR蛋白発現の障害が、MCPyV(-)MCC群の発癌機序に重要な役割を果たし、生物学的にMSH6発現低下は予後不良と相関することを、第31回欧州病理学会(2019、Nice)で発表した。 Notch signal のMCCでの発現とMCPyV感染や予後との相関を検討し、MCPyV(-)MCC群はJAG1発現が有意に高く、癌抑制遺伝子の NOTCH3発現は、MCCの独立した予後因子であることを論文掲載した(Anticancer Res. 2019;39:319-329)。さらにNOTCHシグナルの標的因子(Cyclin D3, HES1とcMYC)の発現がMCPyV(-)MCC群で有意に高いことを報告した(第31回欧州病理学会2019、Nice)。
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