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2018 年度 実施状況報告書

肺癌の浸潤・転移機構における膜型セリンプロテアーゼインヒビターの機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 17K08723
研究機関宮崎大学

研究代表者

田中 弘之  宮崎大学, 医学部, 助教 (90433060)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード肺癌 / 膜蛋白質 / セリンプロテアーゼインヒビター
研究実績の概要

肝細胞増殖因子系と膜型セリンプロテアーゼインヒビターであるHGF activator inhibitor type-1 (HAI-1)の悪性腫瘍における浸潤・転移機構におけるHAI-1の役割を解析してきた。HAI-1およびHAI-1の研究過程で見出されHAI-1類似の新規膜型蛋白質であるLRP11(low density lipoprotein receptor-related protein 11)の両因子が肺癌の浸潤・転移機構にどのような役割を担っているのかについて検討する。
肺腺癌症例30例を用いて、LRP11遺伝子発現に関して解析を行った。1)正常肺組織と肺腺癌組織を比較すると、後者の方が3.6倍高値であり、統計学的有意差を認めた。2)腫瘍浸潤径であるpT因子とLRP11遺伝子発現の関連については、各pT因子と相関はみられなかった。3)pT1群とpT2-4群でLRP11遺伝子発現に、統計学的有意差はみられなかった。4)リンパ節転移の有無とLRP11遺伝子発現に、統計学的有意差はみられなかった。5)pStageの各群とLRP11遺伝子発現に、統計学的有意差はみられなかった。6)pStage1群とpStage2-4群でLRP11遺伝子発現に、統計学的有意差はみられなかった。7)腺癌組織亜分類の組織型とLRP11遺伝子発現に、統計学的有意差はみられなかった。8)微少乳頭癌成分の有無とLRP11遺伝子発現に、統計学的有意差はみられなかった。9)無病生存率では、LRP11低値群のほうが、予後良好の傾向にあったが、統計学的には有意差はみられなかった(カプラン マイヤー法 ログランク検定 p=0.06)。10)全生存率では、LRP11低値群のほうが、予後良好の傾向にあったが、統計学的には有意差はみられなかった(p=0.258)。11)TCGAのデータを用いた無病生存率と全生存率の解析では、ともに統計学的有意差はみられなかった。
以上の解析結果から、LRP11は癌の浸潤・転移よりも発癌機構に深く関与することが示唆された。この結果をまとめて、英文雑誌に投稿予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

・肺腺癌におけるLRP11遺伝子発現の解析について、結果は上記に記載とおりであるが、患者同意書を確認できたものが30例しか確認できず、n数が少ない中での解析となってしまった。
・電子カルテからの臨床情報閲覧とガラス標本の見直しに思いのほか、時間がかかっている。

今後の研究の推進方策

・現在、HAI-1の蛋白発現と肺癌の臨床病理学的因子の相関を解析している。
・LRP11の免疫染色に関しては、現在、western blot法で、適切な抗体の選定中である。
・in vitroの実験に関しては、現在、肺癌培養細胞株 (A549)にLRP11遺伝子を過剰発現している安定細胞株の作成中である。またcrispr-cas9法またはRNA干渉法で肺癌培養細胞株のHAI-1、LRP11をそれぞれノックダウンまたは発現低下させた培養細胞株を樹立する予定である。

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公開日: 2019-12-27  

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