研究課題/領域番号 |
17K08726
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
前沢 千早 岩手医科大学, 医学部, 教授 (10326647)
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研究分担者 |
谷田 達男 岩手医科大学, 医学部, 教授 (20217144) [辞退]
柴崎 晶彦 岩手医科大学, 医学部, 助教 (20445109)
杉山 徹 岩手医科大学, 医学部, 教授 (40162903) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 悪性中皮腫 / YAP / RHAMM / ヒアルロン酸 |
研究実績の概要 |
悪性中皮腫は、各種集学的治療法に反応不良な難治性癌であり、希少癌であるものの今後死亡数の増加が予測される社会的影響の大きい悪性腫瘍である。本研究では、悪性中皮腫の生物学的特性の形成に中心的役割を果たす、「Hippo-YAP 経路」の標的分子RHAMM(hyaluronan-mediated motility receptor)に着目し、①悪性中皮腫細胞の浸 潤・転移・播種ならびに胸/腹水貯留に係る分子機構の解明と、②その制御法開発の基礎研究を実施する。 実験計画は、STEP 1:遺伝子工学,細胞生物学的手法を用いた、中皮腫におけるHippo-YAP/TAZ-RHAMM axis の異常と浸潤・転 移活性化分子機構の解明(in vitro)、ならびに中皮腫播種モデルを使ったRHAMM-ヒアルロン酸相互作用阻害による浸潤転移、胸水コントロール実験とに分けて行った(in vivo)。 既に、悪性中皮腫培養細胞株8株を用いて、Hippo-YAP/TAZ-RHAMM axis の異常は、①浸潤・転移と密接に関連していること、その浸潤転移能はヒアルロン酸依存性に亢進することを明らかにした。②免疫染色によるYAP蛋白の核陽性像は、臨床病理学的事項と関連する事を明らかにした。以上の結果は、英文論文で公表した。これまでの実験結果は、研究計画時に立てた作業仮説に矛盾するものではなく、順調に経過している。 次年度以降は播種モデルを使ったRHAMM-ヒアルロン酸相互作用阻害による浸潤転移、胸水コントロール実験、①in vitro に於ける、②RHAMM/ヒアルロン酸間相互作用の抑制実験。ならびに、Xenograft を用いた、胸腔・腹腔内播種阻害実験を行う。 動物,組換え,ヒト材料を用いた研究に関する各種規定を遵守し、研究を展開する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
実績の概要にも記したが、培養細胞株を用いて、Hippo-YAP/TAZ-RHAMM axis の異常は、浸潤・転移と密接に関連していること、その浸潤転移能はヒアルロン酸依存性に亢進することを明らかにした。さらに、免疫染色でもYAP蛋白の核陽性像は、中皮腫の臨床病理学的事項と関連する事を明らかにした。以上の結果は、英文論文で公表した。 これまでの実験結果は、研究計画時に立てた作業仮説に矛盾するものではなく、順調に経過している。 既に研究計画の50%を実施し、研究成果の公表も行った。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は播種モデルを使ったRHAMM-ヒアルロン酸相互作用阻害による浸潤転移、胸水コントロール実験、①in vitro に於ける、②RHAMM/ヒアルロン酸間相互作用の抑制実験に加えて、Xenograft を用いた胸腔・腹腔内播種阻害実験を行う。 動物,組換え,ヒト材料を用いた研究に関する各種規定を遵守し、研究を展開する。今後の2年間で、in vivoの実験を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度以降、in vivoでの実験を拡充しデータの再現性をより向上させるため。研究計画では、当所播種モデルでの抑制実験は経費がかかるため、計画の段階では動物の頭数を制限して行う事としていたが、資金に余裕が出来たため、再現性をより向上に充てたい。
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