研究実績の概要 |
1.症例をさらに30例をリストアップし、臨床病理学的因子や再発までの期間や死亡までの期間の検討を行った。これまで、ブロックの存在が確認された114例の薄切標本を準備済み。 2.報告済みの予後予測マーカーの免疫染色:①S100A16タンパク質に関しては肺腺癌の外科摘出症例における検討を行い報告した (Hum Pathol 74: 148-155, 2018)。さらに、S100A16に関しては腺癌を対象に術後補助化学療法症例65例を用いた検討を行い、25例(40.0%)に発現が認められ、S100A16発現は患者の無病生存率や全生存率と有意の相関性が認められた。さらに多変量解析の結果、S100A16の発現は術後補助化学療法施行患者の独立した予後不良因子であることを見出し報告した (Onco Targets Ther 10: 5273-5279, 2017)。また、S100A16の発現とEMTとの関連性が報告されていることから、E-cadherin, vimentinの発現との関連性を検討したが、両者との関連性は見いだせなかった。②nestinの発現は非小細胞性肺癌や大細胞性神経内分泌肺癌の予後不良因子であることを報告している (Chest 134: 862-869, 2011, Lung Cancer 77: 415-420, 2012)。今回は、術後補助化学療法症例におけるnestin発現の意義について検討した。その結果、nestinの発現は非小細胞性肺癌90例中28例 (31.1%) に認められ、nestinの発現は、患者の全生存率と有意の相関性を示した。また、多変量解析の結果、nestinの発現は独立した予後不良因子であることを見いだし報告した (PLoS One 12: e0173886, 2017)。
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