研究課題/領域番号 |
17K08731
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
辻村 亨 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20227408)
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研究分担者 |
佐藤 鮎子 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (20419823)
阿部 晋也 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (70596725) [辞退]
篠原 義康 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (60723509)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 病理学 |
研究実績の概要 |
悪性中皮腫には、BAP1変異やCDKN2A欠失などの遺伝子異常がみられ、BAP1変異は肉腫型中皮腫よりも上皮型中皮腫に高頻度に検出される。悪性中皮腫におけるBAP1機能を明らかにするために、野生型BAP1を持つ上皮型中皮腫細胞株(MM26)にpLenti-U6-BAP1 sgRNA-SFFV-Cas9-2A-Puroを導入し、BAP1-KO上皮型中皮腫細胞株を作製した。また、野生型BAP1を持つ肉腫型中皮腫細胞株にpLenti-U6-BAP1 sgRNA-SFFV-Cas9-2A-Puroを導入し、BAP1-KO肉腫型中皮腫細胞株を作製した。これらのBAP1-KO中皮腫細胞株は、親株と比較して、通常の培養条件では増殖能に明らかな差を認めなかった。現在、遊走、浸潤、薬剤耐性などの生物学的特性について解析を進めている。 不死化中皮細胞(Met5A)を親株として作製したBAP1-KO中皮細胞と対照細胞(コントロール)との遺伝子発現プロファイルを比較すると、BAP1-KO中皮細胞において発現が増強する遺伝子あるいは発現が低下する遺伝子が検出された。発現が増強する分子には細胞遊走因子や細胞接着因子などが含まれ、発現が低下する分子には転写因子やホメオボックス蛋白質などが含まれていた。今後、これらの分子について解析を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CRISPR-Cas9 システムを用いて、野生型BAP1を持つ上皮型中皮腫細胞株(MM26)を親細胞として、 BAP1-KO上皮型中皮腫細胞株(6クローン)の作製に成功した。また、野生型BAP1を持つ肉腫型中皮腫細胞株(MM46)を親細胞として、BAP1-KO肉腫型中皮腫細胞株(2クローン)の作製に成功した。これらのBAP1-KO中皮腫細胞株と親細胞との生物学的特性を比較し、悪性中皮腫におけるBAP1機能の解析を進めている。 昨年度に作製したBAP1-KO中皮細胞を用いて、BAP1欠失により発現変動する遺伝子を検出した。
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今後の研究の推進方策 |
CDKN2A-KO中皮細胞、BAP1-KO中皮細胞、CDKN2A & BAP1-KO中皮細胞の生物学的特性の解析を続け、中皮細胞の腫瘍化におけるCDKN2AおよびBAP1の役割を明らかにする。BAP1-KO上皮型中皮腫細胞株およびBAP1-KO肉腫型中皮腫細胞株の生物学的特性の解析を進め、上皮型中皮腫および肉腫型中皮腫におけるBAP1機能を明らかにする。必要に応じて、移植モデルを使用してBAP1の生物学的作用を解析する。また、BAP1欠失により発現変動する分子について解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画していた物品(消耗品)を変更したこと、物品の価格が変更したこと等により、総額63,173円の次年度使用額が生じた。 次年度使用額については研究を円滑に進めるための消耗品の購入に充てる。
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