研究課題/領域番号 |
17K08732
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
竹下 盛重 福岡大学, 医学部, 教授 (90171636)
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研究分担者 |
石塚 賢治 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (10441742)
高松 泰 福岡大学, 医学部, 教授 (50320297)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ATLL / T cell lymphoma / NK cell lymphoma / C-MYC / MIB1 |
研究実績の概要 |
CMYC,またそのユビキチン化を促進するFBXW7は細胞周期に大きく関与する遺伝子である。CMYCは遺伝子の8q24部位にある転写因子で、Burkittリンパ腫の責任遺伝子である。FBXW7はCMYCを分解する蛋白である。このCMYCがびまん性大細胞Bリンパ腫においてその遺伝子増幅、蛋白レベルで腫瘍組織の40%,50%以上の細胞に陽性である場合、予後に大きく関わると考えられている。 成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)は臨床分類としてくすぶり型、慢性型、リンパ腫型、急性型と分類されるが、前2型と後2型は予後において大きな差異があることが知られている。我々は、この4群の組織を用いCMYCやFBXW7を遺伝子増幅、FISH,免疫組織化学法を行いその発現を確認した。CMYCおよびFBXW7は、くすぶり型とリンパ腫型、もしくは急性型の2群間で大きな差異があることを確認した。増殖期を示すMIB1陽性率とともにCMYCの蛋白発現、RNA量が大きく予後に関わることが判った。また、FBXW7はその逆相関の状態を示した。しかしながら、リンパ腫型と急性型の2群においては大きく差異がなく、この2型内では予後因子となり得なかった。さらなる予後因子の解析が望まれた。 現在、ATLLリンパ腫型、急性型の2群において、B細胞を含め反応性リンパ球がいかに予後に関与するかを確認している。 また、ATLL以外のT細胞リンパ腫やNK細胞リンパ腫の130例において、CMYC、FBXW7、PD1、PD-L1、MIB1等の遺伝子学的、免疫組織学的解析を行い、T/NK細胞リンパ腫全体例と個々の組織型の例での組織における予後想定因子を確認している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
T/NK細胞リンパ腫約130例を集積予定である。統計上の問題で症例の集積が必要であるが、症例はすでに集積完了状態である。しかし、残る10症例の血清LDH, sIL2R、病期や予後等データの集積ができておらず、統計学的解析が遅れている状況である。 本年度前期にデータの集積を行いまとめていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
Tリンパ球においても、数種のmiRNAがCMYCの発現等には関与し細胞増殖を調節している。 ATLL症例では、血液中の単核球miRNAの解析は行われている。我々はくすぶり型、慢性型、リンパ腫型、急性型の腫瘍組織におけるmiRNA量がどのような因子とかかわりがあるかを確認したい。 ATLLのリンパ腫型と急性型は臨床的に進行性で予後不良であり2群に大きな差異なく、perfomance statusが大きな予後因子となる。その2群における組織学な予後因子を細胞学的に、また背景のリンパ球等を中心に検討していく計画である。
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