研究課題
programmed cell death1 (PD1)等が陽性を示す濾胞内ヘルパーT(TFH)細胞はPD1のリガンドであるPD-L1と結合し免疫調整をする。T細胞性リンパ腫では、TFH細胞由来の腫瘍として血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)と濾胞性T細胞リンパ腫が確立されている。それ以外の末梢性T細胞リンパ腫 (PTCL)の中にTFH細胞形質を示すTFH+ PTCLが認められている。我々はTFH細胞リンパ腫68例を集積しその予後解析をした。予後因子は、LDH300U/L以上 (p=0.04)、III, IV病期 (p =0.02)、大型異型リンパ球を有するTFH+ PTCL (p<0.05)、CMYC(p=0.029)、PD-L1+腫瘍細胞と高度なPD-L1+反応細胞を合わせた群(高度PD-L1反応群)(p=0.0004)が有意な予後不良因子であった。加えて、PD1+腫瘍細胞と高度PD-L1反応群 (p=0.005)、CMYC+腫瘍細胞と高度PD-L1反応群 (p<0.0001)が有意な予後不良因子であった。TFH細胞リンパ腫例では、予後因子として転写因子のCMYCと免疫調整因子のPD-L1、またその組合わせが関与していることが判明した。我々は成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)において、リンパ腫型、急性型のCMYC発現はくすぶり型、慢性型に比較し有意に高いことより、顕性化群移行にCMYCが大きく関与することを示した。しかし、リンパ腫型、急性型例ではCMYCは予後因子ではなかった。他施設の報告ではPD-L1+腫瘍細胞がATLLの予後増悪因子であった。CMYC、CMYCと高度PD-L1反応群が、TFH細胞リンパ腫の予後因子として重要であった。T細胞リンパ腫では、腫瘍細胞の増殖因子のみでなく、腫瘍周囲の免疫調整機構が大きく影響することが推測された。
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