研究課題
家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)患者の肝臓を移植肝として利用するのがドミノ肝移植である。このドミノ肝移植のレシピエントにおける最大の問題は、移植後に生じる伝播性アミロイド(伝播性FAP)である。本研究ではこの伝播性アミロイドの(超)早期病変を、病理学的・生化学的に解析し、伝播性アミロイドの伝播機構の解明を主な目的としている。現時点で、9名のドミノ移植レシピエントの、アミロイド沈着のモニタリングで施行された胃・十二指腸生検組織について、アミロイド沈着を確認後、レーザーマイクロダイセクション(LMD)を用いて、アミロイド沈着部を切削・回収。LC-MS/MSで、沈着アミロイドの生化学的組成を解析した。最終年度はアミロイド陽性であった8名のレシピエントのアミロイド蛋白解析の総括と、対象非肝移植FAP患者のアミロイド解析を行った。解析結果であるが、病理学的検索では、8名でアミロイド沈着が同定されており、最短では移植後1年で、アミロイド沈着が陽性であった。生化学的検索は8名で施行しており、平均変異型TTR比率が80%以上と、野生型TTRに比べて変異型TTR比率が優位に高い結果であった。また最終年度は、通常の病理組織検査でアミロイド陰性と診断された標本8検体について、100枚の連続切片を作製し、アミロイド検索を詳細に行ったところ、半分の4検体でアミロイド陽性所見が認められた。最終年度の研究総括として、当初の予想通り、ドミノ肝移植関連伝播性アミロイドーシスにおける早期病変は主に、変異型TTRがシードを形成することから始まっている可能性が示唆された。また移植後アミロイドの早期病変は、通常の病理検査では見逃されている可能性があり、治療開始時期を決定する上でも注意が必要と考えられた。
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