研究実績の概要 |
ランゲルハンス細胞組織球症(以下 LCH)の原因は確定しておらず、腫瘍性疾患なのか反応性疾患なのか未確定であり(引き続き、令和2(2020)年度科学研究費助成事業(基金) [20K07393] 「ランゲルハンス細胞組織球症―NGSを用いたsmall RNAの解析―」)の研究課題の核心をなす学術的「問い」として、研究継続予定)、ウイルス感染、先天異常等の様々な関与について研究がなされて来た。 我々は、LCHは腫瘍性疾患の性格を背景に有する反応性疾患である可能性のあるデータ(患者血清や病変部組織にウイルスのDNAが存在する症例がある事を見出した(Hum Pathol, 2014))を得、LCH患者血清を用いた質量分析器による解析(平成23年度基盤研究(C)及び平成26年度基盤研究(C))、LCH患者血清を用いたRNA-Seq (対象にsmall RNAを含まないHiSeq) (平成29年度基盤研究(C))と継続してきた。 研究実績として、LCH亜型間では、造血器系の分化に関連する転写因子KLF1、GATA-1、LYL1(lymphoblastic leukemia associated hematopoiesis regulator 1)、Ⅰ型インターフェロンによって誘導されるIFI27 (Interferon alpha-inducible protein 27)に発現の差異が見出されたが、後者は近年、乳癌や扁平上皮癌、肝細胞癌、漿液性卵巣癌、膿胸関連リンパ腫等の腫瘍性疾患で、上方制御されることが見出されており、腫瘍細胞の増殖、浸潤に関連している事が明らかとなっている。従って、これらの遺伝子発現上昇は、LCH亜型間の差異と関連している可能性があると思われる。 今後、LCH患者血清を用いたRNA-Seq (small RNAを対象としたNovaSeq) 解析を進める予定である。
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