研究課題/領域番号 |
17K08744
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
渡邊 壽美子 九州大学, 医学研究院, 助教 (90404087)
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研究分担者 |
大喜 雅文 九州大学, 医学研究院, 教授 (10160441)
勝田 仁 九州大学, 医学研究院, 教授 (50333240)
加来 恒壽 九州大学, 医学研究院, 教授 (60185717)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 自然尿細胞診 / BCG膀注療法 / RD値 / 核面積 / Solidity値 / 核アスペクト比 / p21タンパク |
研究実績の概要 |
BCG failure群の尿細胞診に出現する異型細胞の形態学的および細胞周期関連タンパクの関連性を検討し、BCG failure群の尿細胞診に特異的に出現する異型細胞の特徴を明らかにすることを本研究の目的とし、以下の検討を行った。①BCG膀注療法症例におけるデータの収集:病理組織学的にNMUCと診断された10症例(膀注療法後観察期間:11-98ヶ月)を測定した。平均年齢は68.1歳(61-78)、男女比は9: 1であった。RD値は、再発症例(5症例:細胞数61)が-40.54±10.41(-117.01-114.31)、非再発症例(5症例:細胞数310)が -11.05±4.41(-108.81-83.76)であった (p<0.01)。治療前自然尿細胞診に出現する比較的小型で核中心が濃染する異型細胞は、BCG failureを示唆する細胞である可能性がある。②BCG曝露によるT24細胞のp21・p27発現における客観的検討:T24(高異型度ヒト尿路上皮癌由来株化細胞)を使用した。共焦点レーザー顕微鏡LSM700を用いてp21の核内発現を(陰性 / 弱陽性 / 陽性)で判定した(目視法)。さらに、解析ソフトNIS-Elementを用いて核内発現したp21の輝度積算値を算出(算出法)し、両法に相関が認められるかを調べた。目視法による陰性、弱陽性、強陽性の判定した細胞のp21の輝度積算値は、陰性が平均2594±1996、弱陽性が平均4024±2078、強陽性が平均6461±2469であった。算出法では、陰性と強陽性間には重なりがなく、弱陽性は中間の値をとった。また、目視法と算出法の間には、相関係数0.77という高い正の相関が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床検体の選定もほぼ終わり、データ解析も順調に進んでいる。タンパク発現に関する客観的方法も進んでおり、これまでの目視法の精度に関するバックデータも得られ、学会発表の予定である。今後の解析を客観的に進める方法論が、一応揃った状況である。
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今後の研究の推進方策 |
①BCG曝露実験におけるデータの収集:複数の培養細胞の感受性を調べ、曝露実験を行い、pRB, p53, p21, p27, Lamin等の発現を核内、細胞質内に分けて分析する。また、相互関係も調べる。 ②BCG failure群の尿細胞診に出現する異型細胞の特徴を分析する。
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