• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実施状況報告書

BCG failure症例に出現する異型細胞の形態学的・分子生物学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K08744
研究機関九州大学

研究代表者

渡邊 壽美子  九州大学, 医学研究院, 講師 (90404087)

研究分担者 大喜 雅文  九州大学, 医学研究院, 教授 (10160441)
勝田 仁  九州大学, 医学研究院, 教授 (50333240)
加来 恒壽  九州大学, 医学研究院, 教授 (60185717) [辞退]
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード自然尿細胞診 / BCG膀注療法 / pRB / p21 / p27 / RD値
研究実績の概要

BCG failure症例の検討において重要になってくるのが、BCG膀注療法の作用機序である。癌細胞は細胞周期に異常をきたしたものが多いが、細胞増殖抑制にはp53とpRBという二大タンパクが関与している。そのうち膀胱癌はp53のmutationが多く見られる為、2018年度、我々は比較的異常が少ないpRBと他のタンパク(p21, p27)との関連性を培養細胞(T24, C33a)やsiRNAを用いて調べた。その結果、BCG膀注後 ①BCG曝露において,p21・p27の核内共発現が効果的細胞周期停止をもたらす、②p27または正常pRbの発現は,核内p21の発現には十分条件であるが,細胞質内p21の発現には必須である、③BCG曝露におけるpRb-T821リン酸化はp21・p27の核内共発現に比較し遅れる、④BCG 療法効果判定因子として,核面積の変化は使えないが,核クロマチン・核の縦横比は有効である、ことが分かった。
現在、非浸潤性膀胱癌のBCG膀注療法効果判定には、内視鏡や生検、自然尿細胞診がもちいられているが、自然尿細胞診にはBCG failure症例に対する判定基準は確立されていない。そこで、我々はBCG膀注療法を受けた15症例(再発群4例、非再発群11例)の自然尿細胞診を4つの時間軸(治療前、BCG膀注療法後、再発時、最新)で調べた。その結果、①再発症例では、治療前と再発時の細胞は形態的に近い、②BCG failure症例では、初診時自然尿細胞診に、核面積が小さく、核型不整が強く、核クロマチンが中心に濃染した細胞が出現している、可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

実験を含めて順調に進んでいる。概要に記した内容は、学会発表および論文として発表している。

今後の研究の推進方策

① 培養細胞を用いた実験:p53とpRBにmutationが見られない細胞(RT-4)を追加して、BCG膀注療法と細胞周期関連タンパクの関連性を詳細に調べる
② BCG failure症例の自然尿細胞診に出現する異型細胞の分析に、Deep Learningを利用して『BCG failure症例に対する判定基準の確立』を目指す

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Nuclear Co-expression of p21 and p27 Induced Effective Cell-cycle Arrest in T24 Cells Treated with BCG2019

    • 著者名/発表者名
      Sumiko Watanabe, Shota Yamaguchi, Naoto Fujii, Natsuki Eguchi, Hitoshi Katsuta, Setsuo Sugishima, Tsuyoshi Iwasaka, Tsunehisa Kaku
    • 雑誌名

      Cytotechnology

      巻: 71 ページ: 219-229

    • DOI

      10.1007/s10616-018-0278-5.

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Serum starvation induces abnormal spindle location, RhoA delocalization, and extension of intercellular bridge with the midbody.2018

    • 著者名/発表者名
      Nishimura K, Watanabe S, Kato K, Sugishima S
    • 雑誌名

      Biosci Biotechnol Biochem.

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1080/09168451.2018.1443791.

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] 子宮頸部扁平上皮病変におけるHPV(human papillomavirus)感染と細胞像の関連性.2018

    • 著者名/発表者名
      下代清香, 渡邊壽美子, 加来恒壽, 桑岡勲, 杉島節夫, 大屋正文
    • 雑誌名

      日本臨床細胞学会雑誌

      巻: 57(5) ページ: 251-258

    • DOI

      10.5795/jjscc.57.251

    • 査読あり
  • [学会発表] 細胞周期関連タンパク発現からみたBCG膀胱内注入療法の効果判定:実験的考察2018

    • 著者名/発表者名
      渡邊壽美子、平井絵梨花、藤井直人、江口奈津希、山口将太、加来恒壽、岩坂剛
    • 学会等名
      第59回日本臨床細胞学会
    • 招待講演
  • [学会発表] BCG曝露によるT24細胞のp21・p27発現における客観的検討2018

    • 著者名/発表者名
      前田裕亮, 渡邊壽美子, 藤井直人, 加来恒寿, 岩坂剛, 杉島節夫
    • 学会等名
      第59回日本臨床細胞学会
  • [学会発表] BCG failure症例の自然尿細胞診に出現する異型細胞の形態学的検討2018

    • 著者名/発表者名
      森山拓人、渡邊壽美子、軍馬麻紀、鷺山和幸、加来恒壽、杉島節夫
    • 学会等名
      第59回日本臨床細胞学会
  • [学会発表] 栄養状態と二核細胞の細胞周期に関する検討2018

    • 著者名/発表者名
      近藤守,渡邊壽美子,鶴留えりか,西村和徳,加来恒寿, 岩坂剛, 杉島節夫
    • 学会等名
      第59回日本臨床細胞学会
  • [学会発表] BCG曝露T24細胞におけるpRbとp21発現の関連性2018

    • 著者名/発表者名
      中司成、渡辺寿美子、平井絵梨花、加来恒壽、岩坂剛
    • 学会等名
      第57回日本臨床細胞学会秋期大会

URL: 

公開日: 2019-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi