研究課題/領域番号 |
17K08747
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
小西 英一 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50186714)
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研究分担者 |
眞能 正幸 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター(臨床研究センター), その他部局等, 研究員 (10183956)
森永 友紀子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20729404)
長田 盛典 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 副部長 (30467922)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 原発性骨腫瘍 / 骨巨細胞腫 / 病理組織 / 放射線画像 / 統計解析 |
研究実績の概要 |
発生頻度の低い原発性骨腫瘍において特に希少である中間性腫瘍についてわが国独自の臨床病理学的特徴を明らかにすべく、初年度は骨巨細胞腫の症例検索を行った。 申請者の施設には約45例の症例数が病理部システム内に登録されている事が分かった。本年度はそれらの病理組織標本の取り出しと、カルテ記載情報の収集を行った。同時に、分担研究者の施設である国立大阪医療センターおよび大阪国際がんセンターの症例を病理データベースで検索し、前者約50例、後者約100例の症例がある事が分かった。総数約200例の症例数があるが、病理組織標本と放射線画像の両方が残されている症例がどれ位あるか分からないため、さらに関西骨軟部腫瘍研究会の有志施設にお願いし、症例を検索してもらった。その結果大阪大学に約40例、京都大学に約60例の症例があり、有志の大阪市立大学および大阪市立総合医療センターについても検索中を行いつつある。 およそ300例強の症例を検討するにあたり、まず本学の症例より、標本の有無と放射線画像の有無のチェックを行った。その結果病理組織標本は全て保管してあったが、電子カルテ開始以前の症例約20例の放射線画像に欠損が見られた。各施設について、順次検討資料の保管の状態を確認している。 どのような病理組織学的所見と放射線画像的な所見のデータが必要か、またどのような検討が現在国際的に行われているか視察するため北米病理学会に参加した。その結果Histon 3.3 G34Wに対する免疫組織化学が用いられている検討が多い事が分かったが、本研究にそれをどのように導入す得るか現在検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
各々の施設の症例データベース解析にあたって、設定した研究期間に電子カルテ開始時期がはさまれている事が多く、電子ベースと紙ベースの検索により抽出される症例数に微妙な差が生まれているため、正確な症例数の把握に手間取っている。また、臨床情報についても、紙カルテの保存状況が、さらに放射線フィルム画像の保存状況が、施設により異なり、全ての情報が得られる症例の把握に、かなり時間がかかっている。 また本課題の研究期間中に国の倫理指針の規程が変更されたため、申請者らの所属機関以外、関西骨軟部腫瘍研究会の有志の施設の倫理委員会の承認に手間取っている。
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今後の研究の推進方策 |
症例数が固まり、倫理委員会承認が出た施設から、病理組織標本を用い病理所見のデータ収集を行うと共に、放射線画像についても同様のデータ収集を行う。同時に、診療録より再発を含めた予後情報、発生部位、初発症状、年齢、性別などをデータベース化する。現時点で検討項目に挙げている項目は、骨の種類、mitotic figureの数、ischemic necrosisの有無、osteoid/ossificationの有無、pleomorphism of nuclei (pseudosarcomatous)の有無、fascicle of spindle cellの有無、foam cell infiltrateの度合い、storiform patternの有無、ossified rim in soft tissueの有無など13項目、放射線画像ではcalcification or ossification、attach to cartilage or not?、margin (well, poor)、marginal sclerosisの有無、sizeなど17項目である。 データは統計学的処理を行うべく、形態所見を数値化したいが、二値化あるいはいくつかのカテゴリー化を行うべく有意な分類法や、予後・再発予想因子について統計学的解析法については申請者の施設の生物統計学者に相談し検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
全体として研究計画に遅れが見られ、当該年度で全てを消化する事が出来なかった。 次年度は、研究計画どおり分担者の施設を行き来する予定であり計上した予算を順次消化する予定である。すなわち症例の収集が終わった段階で、分担者とともに病理診断を行い、臨床病理学的データの統計学的検討を行なう。検討する臨床病理学的所見は年齢、性別、部位、予後、追跡月数、手術法、化学療法がおこなわれている場合薬剤名とそのレジメ、予後情報、発生部位、初発症状、年齢、性別などである。また現時点で検討項目に挙げているのは更に骨の種類、mitotic figureの数、ischemic necrosisの有無、osteoid/ossification有無、pleomorphism of nuclei (pseudosarcomatous)、fascicle of spindle cellの有無、foam cell infiltrateの度合い、storiform patternの有無、ossified rim in soft tissueの有無など13項目、放射線画像ではcalcification or ossification、attach to cartilage or not?、margin (well, poor)、marginal sclerosis、sizeなど17項目である。これらの解析を通じて、再発・転移に関与する組織像のポイントを探る。 我が国の骨巨細胞腫の臨床病理学的特徴を解析するとともに、我が国における本腫瘍の治療法や発生頻度などの実態を明らかにする。その過程で得た、再発や転移に関与する因子について、積極的に国内外の学会で発表していく。
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