研究課題/領域番号 |
17K08747
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
小西 英一 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50186714)
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研究分担者 |
眞能 正幸 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター(臨床研究センター), その他部局等, 研究員 (10183956)
森永 友紀子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20729404)
長田 盛典 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, 病理・細胞診断科副部長 (30467922)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 原発性骨腫瘍 / 骨巨細胞腫 / 病理組織 / 再発因子 / 統計解析 |
研究実績の概要 |
本年度は骨巨細胞腫の予後(再発)に係る臨床病理学的な所見の統計学的解析を行った。その結果213例の骨巨細胞腫を関西骨軟部腫瘍研究会の有志より集めることが出来た。対象は頭蓋骨以外に発生した100例の男性、113例の女性例で、平均年齢は38.7歳、12歳から80歳に及んでいた。発生部位は長管骨が最も多く、86.4%を占めたが、膝関節周囲が62.9%でに及んだ。それぞれの例の生検・切除標本の14種類の病理形態学的な特徴と、臨床的な5種類の特徴を観察・分析した。手術後平均106.1か月(24から316か月)の追跡期間ののち、62例(29.1%)に再発を認め、また9例(4.2%)に肺転移が見られた。 上記臨床病理学的特徴のCoxハザード解析の結果、再発に有意に関連のあったのは、若年齢、高頻度核分裂像、より少ない間質出血像、局所血管浸潤像、および虚血壊死の見られないことであった。また、術式において、単変量解析では掻爬術は切除術より高い再発率を示したが、多変量解析では有意な因子にならなかった。さらに近年骨巨細胞腫の薬物治療としても用いられるようになったDenosumabの投与は、再発のリスクを増大させる有意傾向にあった。また、診断目的に頻繁に使われるHistone 3.3 G34Wに対する抗体陽性の有無も再発には関連しなかった。 以上の結果を、共同研究者および上記研究会有志の代表者とともにPahtology International 71(8):500-11 (2021)に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
希少腫瘍に属する原発性骨腫瘍は、単一施設での症例研究に向かず、多施設間研究を基本とする。コロナ禍で移動の自由が制限されている2021年以降、各施設を回って、症例情報を収集することに難渋している。 今後もこのような各施設のアクセス制限が続く場合、症例解析の困難さは続くものと思われる。現在医療情報である病理組織標本の持ち出しについて、各施設と協議し後れを取り戻す方法を模索中である。
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今後の研究の推進方策 |
多施設間研究が必要と思われるが、今後もコロナ禍による各施設のアクセス制限が続く場合、症例解析の困難さは続くものと思われる。現在医療情報である病理組織標本の持ち出しについて、各施設と協議し後れを取り戻す方法を模索中である。 その間骨巨細胞腫について多くの症例が集まり手元に多くの情報が蓄積されている。昨年度の検討で62例の再発例があり、再発因子について模索したが、今後は再再発因子など、現在ある情報のサブ解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により多施設間研究が行いづらくなっている。その為、医療情報である病理組織標本等を各協力施設から何らかの形で提供してもらう必要があるが、そのための倫理委員会規定等による縛りで、研究の遂行が遅れている。 そのため、本年度までに蓄積した骨巨細胞腫のデータのサブ解析を行う予定である。具体的には再発例62例を用いて、再再発の予想因子の検索等を行う予定である。
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