研究課題/領域番号 |
17K08748
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
甲野 裕之 金沢医科大学, 看護学部, 教授 (20221236)
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研究分担者 |
尾山 武 金沢大学, 医学系, 助教 (00515314)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 未分化/未分類肉腫 / Array CGH / FISH / 免疫組織化学 |
研究実績の概要 |
未分化/未分類肉腫は発生頻度が低くかつ多彩な組織型を呈することから、現状では未分化/未分類肉腫には特異性の高いマーカーが見出されておらず、未分化/未分類肉腫の診断には新たな特異的マーカーを検索することが極めて重要である。 本年度は、金沢医科大学病院臨床病理部および金沢大学附属病院病理部に保管されているundifferentiated pleomorphic sarcoma/未分化多形肉腫/悪性線維性組織球腫の症例を選出し、それらのパラフィンブロックを遠隔転移の有無などの主な臨床情報とともに集め研究に供した。未分化/未分類肉腫におけるWntシグナル伝達経路の関与を検索するために、未分化/未分類肉腫検体から抽出されたゲノムDNAに対して、Affimetrix OncoScan assayを用いた全ゲノム的なコピー数の解析を行った。解析結果より高度な遺伝子コピー数の増加が認められたWntシグナル伝達経路関連遺伝子としてDKK1遺伝子を見出した。The UCSC Genome Browser にて、DKK1遺伝子を含む染色体領域をカバーす るBacterial Artificial cloneとして、RP11-341F8を選出し、そこからBAC DNAを増幅し、蛍光ラベ ルを行うことによりFISH probeを作成した。さらにこのFish probeを用いて、未分化/未分類肉腫に対してFISH法を試みたところ、Wnt pathwayに属するいくつかの遺伝子に対して、遺伝子増幅が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
金沢医科大学病院および金沢大学附属病院病理部に保管されている未分化/未分類肉腫は、希少がんに該当する腫瘍で、そのパラフィンブロックおよび臨床情報を収集するの困難であった。さらに金沢医科大学病院臨床病理部および金沢大学附属病院病理部における軟部腫瘍に対する手術数の減少に伴い、未分化/未分類肉腫の病理検体が減少した。またWntシグナル伝達経路に属する遺伝子であるDKK1に着目し、その遺伝子増幅をFISH法にて検索したBAC cloneからのFISH probe作成において、plasmidが十分得られずprobe作成用のBAC DNAの確保に時間を要したため、Wnt pathwayに属する遺伝子増幅解析が大幅に遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
未分化/未分類肉腫検体に対するFISH法で、遺伝子増幅が確認できた遺伝子に関しては、未分化/未分類肉腫全体における頻度、タンパク発現との相関、年齢、性別、進行度、リンパ節転移、リンパ管侵襲および静脈侵襲などの臨床病理学的な因子との相関を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
Wnt pathwayに属する遺伝子のうち、FISH法で増幅が見られた遺伝子に対して、qPCR法による発現解析および、タンパク発現の状態を調べる必要があり、RNA抽出キット、qPCRのための試薬および免疫染色用の抗体を購入するための予算を確保しておく必要が生じた。
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