研究課題
未分化/未分類肉腫は発生頻度が低くかつ多彩な組織型を呈することから、現状では未分化/未分類肉腫には特異性の高いマーカーが見出されておらず、未分化/未分類肉腫の診断には新たな特異的マーカーを検索することが極めて重要である。本年度は、金沢医科大学病院臨床病理部および金沢大学附属病院病理部に保管されているundifferentiated pleomorphic sarcoma/未分化多形肉腫/悪性線維性組織球腫の症例を選出し、それらのパラフィンブロックを遠隔転移の有無などの主な臨床情報とともに集め研究に供した。本年度の研究は、The UCSC Genome Browser にて、DKK1遺伝子を含む染色体領域をカバーするBacterial Artificial cloneとして、RP11-341F8を選出し、そこからBAC DNAを増幅し、蛍光ラベ ルを行うことによりFISH probeを作成した。未分化/未分類肉腫に対して、FISH法を試みたところ、Wnt pathwayに属するいくつかの遺伝子に対して、遺伝子増幅が確認された。以上と並行して、The Cancer Genome Atlas (TCGA)においても、軟部組織においてコピー数の増加を示している遺伝子を検索したところ、Wnt pathway関連遺伝子であるLRP遺伝子やApolipoprotein(Apo)遺伝子のコピー数増加が示唆されたため、併せてFISH法および免疫組織化学的検討を行う予定である。
4: 遅れている
COVID-19に関連して、本学および金沢大学附属病院病理部における軟部腫瘍に対する手術数の減少に伴い、未分化/未分類肉腫の病理検体が減少したため。
未分化/未分類肉腫検体に対するFISH法で、遺伝子増幅が確認できた遺伝子に関しては、未分化/未分類肉腫全体における頻度、タンパク発現との相関、年齢、性別、進行度、リンパ節転移、リンパ管侵襲および静脈侵襲などの臨床病理学的な因子との相関を検討する。
コロナ禍により、本学および金沢大学附属病院病理部における軟部腫瘍に対する手術数の減少し、未分化/未分類肉腫の病理検体が減少したため、予定していた研究が行えなかった。2021年度はゲノム解析、FISH法、免疫組織化学検索等のための消耗品費や成果発表に関連する費用として使用予定である。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)
Pathology International
巻: 70 ページ: 330~339
10.1111/pin.12914
Am J Transl Res
巻: 12 ページ: 2726~2737