分化/未分類肉腫は発生頻度が低くかつ多彩な組織型を呈することから、現状では未分化/未分類肉腫には特異性の高いマーカーが見出されておらず、未分化/未分類肉腫の診断には新たな特異的マーカーを検索することが極めて重要であると考えられる。 本年度は金沢医科大学病院臨床病理部および金沢大学附属病院病理部に保管されているundifferentiated pleomorphic sarcoma/未分化多形肉腫/悪性線維性組織球腫の症例を選出し、それらのパラフィンブロックを遠隔転移の有無などの主な臨床情報とともに収集し研究に供した。 本年度の研究では、DKK1遺伝子を含む染色体領域をカバーするBacterial Artificial cloneとして、RP11-341F8を選出し、そこからBAC DNAを増幅し、蛍光ラベルを行うことによりFISH probeを作成し研究に供した。 収集した未分化/未分類肉腫に対して、FISH法を試みたところ、Wntシグナル伝達経路に属するいくつかの遺伝子に対して、遺伝子増幅が確認された。 The Cancer Genome Atlas (TCGA)においても、軟部組織においてコピー数の増加を示している遺伝子を検索したところ、Wntシグナル伝達経路関連遺伝子であるLRP遺伝子やApolipoprotein(Apo)遺伝子のコピー数の増加が示され、Wntシグナル伝達経路遺伝子の関与が示唆された。
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