研究課題/領域番号 |
17K08751
|
研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
荒川 文子 久留米大学, 医学部, 助教 (50212618)
|
研究分担者 |
大島 孝一 久留米大学, 医学部, 教授 (50203766)
瀬戸 加大 久留米大学, 医学部, 客員教授 (80154665)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | リンパ腫 / PTCL-NOS / ATLL / hTERT |
研究実績の概要 |
HTLV-1感染によりATLLでは、hTERT活性が高いこと、また、PTCL-NOSの一部にATLLと形態学的に区別できないものが存在することが、報告されている。hTERT promoter に遺伝子変異や methylation がある腫瘍では、hTERT発現増加との関連性が報告されている。 これまでに、PTCL-NOS 42個の DNAサンプルの hTERT promoter 領域の Direct Sequence で、2個のサンプルで、hTERT promoter 変異が存在した。 hTERT promoter C250 (-146) に変異があったものは、多くの ATLL の発現している Cell adhesion molecule 1 (CADM1) も有し、また変異型 CCR4 も発現していた。 hTERTの発現に関しては、約70例の PTCL-NOS の病理標本を用いて、anti-hTERT 抗体(rabbit monoclonal)で、免疫染色を行った。hTERT promoter 領域C250 (-146)に変異のあったサンプルは、hTERTを発現していたが、-112 に変異があったものは、発現していなかった。また、これ以外の PTCL-NOS tissue でも、hTERT 蛋白の発現を多数確認した。hTERT promoter の変異を認めた症例は2例のみであり、PTCL-NOS全体における hTERT promoter 変異の意義は比較的小さいと考えたが、蛋白発現に意義がある可能性があり現在、hTERT蛋白と PTCL-NOS の病態との関連に関して検討を加えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
HRM法による hTERT promoter 遺伝子変異解析系の確立について、hTERT発現増加に関与する主な hTERT promoter 変異部位C250 (-146)、C228 (-124) をtarget としているが、両者を検出することが可能な系の確立は、ほぼ終了しつつある。一方で、 PTCL-NOS で hTERT promoter の遺伝子異常を認める症例が少なかったため、hTERT蛋白発現が PTCL-NOS の臨床病理学的特徴に及ぼす影響に関する検討を進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
当初のHRM法による hTERT promoter 遺伝子変異解析系の確立については、さらに感度の高い系を確立するために PCR で増幅される領域および Tm値をいかに下げるかを考慮中であり、primer等を再検討し、測定系を改良中である。 さらに今回、anti-hTERT 抗体による免疫染色では、hTERT promoter に変異のあったサンプル以外の PTCL-NOSでも、hTERTタンパクを発現していた。 hTERT promoter の変異のほかに、hTERTの蛋白発現および hTERT promoter 領域の CpG siteでの methylation 状態で hTERT 発現が増加する腫瘍も報告されているので、現在、hTERT蛋白発現および hTERT promoter 領域 CpG site の Region 1 (-1127 ~ -921) と Region 2 (-692 ~ -449) のメチル化状態を、Bisulfite 処理したDNAで、解析中である。
|