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2019 年度 実施状況報告書

液状化検体を用いた唾液腺癌の個別化治療への試み

研究課題

研究課題/領域番号 17K08753
研究機関公益財団法人がん研究会

研究代表者

佐藤 由紀子  公益財団法人がん研究会, 有明病院 病理部, 副医長 (30365712)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワードFISH / 唾液腺腫瘍 / 細胞診 / LBC
研究実績の概要

本研究の目的は唾液腺腫瘍における細胞診の診断精度をあげ、治療選択および予後予測に役立てることにある。近年、唾液腺癌は治療標的がみつかり、組織型に基づいた化学療法の選択が可能となりつつある。組織型により治療が変わる可能性があるのは分子標的を有するか、鑑別疾患と治療戦略が異なるもので、術前に組織型が正確にわかることは治療上有利である。術前に行われる穿刺吸引細胞診(FNAC)は複製不可能な検体であり、採取細胞数も限られることから、形態による検索項目の絞り込みが重要で、その組み合わせを決定することが研究の最終目標となる。
本年は唾液腺導管癌(SDC)について多施設共同研究にて、組織学的な悪性度について形態的解析を担当した内容が論文化された(中黒 2019)。また、ACiCはFNACで細胞質が顆粒状でオンコサイト過形成やオンコサイトーマなどの良性疾患や高悪性のSDCとの鑑別困難な場合があり、免疫組織化学や蛍光 in situ ハイブリダイゼーションを加えることで診断精度を上げることが可能になることを症例報告した(佐藤 2019)。ACiCではenhancer hijackingというメカニズムによりNR4A3遺伝子の活性化が亢進すると報告された(Haller F 2019)。ゲノム構造異常は腫瘍に特異的であることが多く、また同時に病態の大きな原因を担っていることが多いため、診断マーカーや予後予測因子としての役割を担う可能性があり、当院ではNR4A3の変異検出系を整えた。また、この近傍の構造異常を拾い上げる検出系を作成し、これまでに組織学的に融合遺伝子の検出が予想されるが検出できていない腫瘍群について、新たな検出系を応用する準備が整った。今後は新たな融合遺伝子の検出を試みるとともに、液状化検体での実用化にむけた応用をさらに進める予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

医局のマンパワーが段階的に大きく減ったために、分担する業務が想定以上に増えた。また、他部門の応援にも入らなければいけない状況となった。そのことにより研究にあてられる時間が予想以上に確保できなかった。

今後の研究の推進方策

昨年の業務量に比較し、1/3程度まで減った部分があり、また協力体制も得られるようになったため、研究に専念できる環境が整った。

次年度使用額が生じた理由

これまでの研究で得られた手法を継続していたため、費用はあまりかからなかったが、2019年後半に新たに腺房細胞癌にてNR4A3が報告され、追加で検索する必要が出てきた。既に新たなNR4A3の検索の系は出来上がったので、症例を追加して検討する必要が出てきたため、その費用に充填する予定である。また、計画を一部変更して、唾液腺腫瘍での融合遺伝子が多数発見される領域について調べる系も作ることができた。これまでの解析で融合遺伝子の検出されなかった検体について更に調べる予定としている。そこで検出された場合には新たなプローブ作成やPCR等の費用が必要となり、新規の融合遺伝子の検出に充てる予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] The clinicopathological significance of the adipophilin and fatty acid synthase expression in salivary duct carcinoma2020

    • 著者名/発表者名
      Hirai H, Tada Y, Nakaguro M, Kawakita D, Sato Y, Shimura T, Tsukahara K, Kano S, Ozawa H, Okami K, Sato Y, Fushimi C, Shimizu A, Okamoto I, Takase S, Okada T, Sato H, Imanishi Y, Otsuka K, Watanabe Y, Sakai A, Ebisumoto K, Togashi T, Ueki Y, Ota H, Saigusa N, Takahashi H, Ando M, Urano M, Hanazawa T, Nagao T.
    • 雑誌名

      Virchows Archiv

      巻: 477 ページ: 291~299

    • DOI

      10.1007/s00428-020-02777-w

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Prognostic Implication of Histopathologic Indicators in Salivary Duct Carcinoma2020

    • 著者名/発表者名
      Nakaguro Masato、Sato Yukiko、Tada Yuichiro、Kawakita Daisuke、Nagao Toshitaka et al.
    • 雑誌名

      The American Journal of Surgical Pathology

      巻: 44 ページ: 526~535

    • DOI

      10.1097/PAS.0000000000001413

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 【知っておきたい特殊な食道腫瘍・腫瘍様病変】唾液腺型食道腫瘍の臨床病理学的特徴2019

    • 著者名/発表者名
      河内 洋, 佐藤 由紀子, 中野 薫
    • 雑誌名

      胃と腸

      巻: 54 ページ: 1419 ~1426

    • 査読あり
  • [学会発表] 術前に腺房細胞癌が除外できなかった耳下腺オンコサイトーマの1例2019

    • 著者名/発表者名
      佐藤 由紀子, 神山 亮介, 瀬戸 陽, 佐々木 徹, 福島 啓文, 米川 博之, 山本 智理子, 三谷 浩樹, 竹内 賢吾
    • 学会等名
      第 30 回日本臨床口腔病理学会
  • [学会発表] 唾液腺導管癌における脂質関連蛋白発現の臨床病理学的意義2019

    • 著者名/発表者名
      平井 秀明, 多田 雄一郎, 中黒 匡人, 川北 大介, 佐藤 由紀子, 志村 智隆, 塚原 清彰, 加納 里志, 安藤 瑞生, 浦野 誠, 花澤 豊行, 長尾 俊孝
    • 学会等名
      第64回日本唾液腺学会
  • [学会発表] 口蓋に発生したhigh-grade transformationを伴う腺様嚢胞癌の1例2019

    • 著者名/発表者名
      矢田 直美, 佐藤 由紀子, 竹内 賢吾, 小川 郁子, 平林 文香, 吉賀 大午, 大谷 泰志, 松尾 拡
    • 学会等名
      第64回日本唾液腺学会

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公開日: 2021-01-27  

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