研究課題/領域番号 |
17K08762
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
片山 博志 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (90713975)
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研究分担者 |
伊藤 佐智夫 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (30335624)
笹井 香織 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (50722162)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | オーロラA / hnRNP / オーロラB / mRNAメタボリズム / 細胞周期 |
研究実績の概要 |
本研究では、オーロラA結合タンパク質のプロテオーム解析から同定したヘテロ核リボヌクレオタンパクF(hnRNP F)の分裂期進行における生理的役割と、発現量が著しく変動している膠芽腫の進行におけるオーロラA/hnRNP F複合体の関与について明らかにすることを目的とした。下記からオーロラAの癌進行シグナルの一部にhnRNP Fの多様な因子との相互作用を通じた多彩な機能が関与しており、その異常が膠芽腫進行を促進することを強く示唆した。 1.hnRNP FはオーロラBプロモーターのCHR領域に働きかけ、転写を上方調節するとともにmRNAを安定化した。特に転写調節については、オーロラAのhnRNP Fリン酸化がG2/M期遺伝子発現に重要な転写因子との相互作用を強化した。この知見は、hnRNP F高発現が高頻度な膠芽腫の特徴である多核と実験的なhnRNP F高発現による多核化細胞の有意な出現という表現型の一致の背景に、オーロラA/hnRNP F複合体によるオーロラBの発現調節が重要な位置付けにあることを示した。 2.hnRNP Fによって発現量が変動する遺伝子の中に膠芽腫で高発現していることが知られているSox2を見出した。オーロラBと異なり、オーロラAのhnRNP Fリン酸化のSox2プロモーターに対する影響は観察されなかったため、hnRNP Fは転写因子Xとは異なる因子との相互作用あるいは制御機構を仲介している可能性が考えられた。 3.hnRNP Fと相互作用する転写因子を探索した結果、膠芽腫の予後不良因子に正の相関を示すOct3/4と結合することを見出した。現時点でこの相互作用の役割は明らかでない。 根治が極めて困難な疾患である膠芽腫に対するオーロラA/hnRNP F複合体の関与は、オーロラAの分子標的薬が有効である可能性を示唆し、本研究の成果は社会的意義が大きいと考えられる。
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