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2018 年度 実施状況報告書

膠芽腫の悪性形質に対する多面的アプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 17K08764
研究機関宮崎大学

研究代表者

福島 剛  宮崎大学, 医学部, 助教 (10452913)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード膠芽腫 / 浸潤性増殖 / CD24 / MALAT1 / MET / SPINT2 / 細胞周囲微少環境 / プロテアーゼ活性制御
研究実績の概要

膠芽腫は、ブレークスルーが最も待望されている難治性がんである。本研究は網羅的解析と機能解析の両面から膠芽腫の悪性形質を左右する新たな機能遺伝子を見出すことを目的としている。膠芽腫細胞を用いたこれまでの網羅的解析を基に新たな機能遺伝子候補として見出した CD24、MALAT1、MET に着目して進めている。
CD24については、幹細胞性や分化への関与、エクソソームとの関連を解析している。超遠心法を用いて培養上清からエクソソームを濃縮し、miRNA を含む total RNA を抽出する方法を確立し、2種類の膠芽腫培養細胞それぞれのコントロール株、CD24ノックダウン株において、細胞内 miRNA・エクソソームmiRNAのプロファイルをmiRNA アレイ(アジレントSurePrint G3 Human miRNA 8x60K)で解析した。その結果、2種類の膠芽腫培養細胞に共通してCD24 の発現によって変動する miRNAを、細胞内 miRNA、エクソソームmiRNAそれぞれ数種類同定した。現在、定量リアルタイム PCR のプライマーや条件設定を準備している。
MALAT1については、膠芽腫細胞株において antisense LNA (locked nucleic acid) を用いたノックダウンに成功し、MALAT1 ノックダウンに伴う増殖、細胞周期、アポトーシス抵抗性、浸潤への影響を解析した。
MET については、そのリガンドである肝細胞増殖因子(HGF)活性化の調節因子の一つである HAI-2 (HGF activator inhibitor type 2;遺伝子名 SPINT2) の膠芽腫、星状膠細胞でのDNA メチル化状態を解析し、多くの膠芽腫において DNA メチル化によって HAI-2の発現が抑制されていることを確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

エクソソームの取得・濃縮方法の確立、その再現性の確保に困難をきたしたが、培養方法と超遠心分離法による濃縮方法に改善を加え、感度の高いマイクロアレイを準備し、細胞由来、エクソソーム由来それぞれのmiRNA プロファイルの取得までたどり着いた。
DNA メチル化解析において、メチル化特異的 PCR の閾値の設定や特異性の高いプライマーの設計、メチル化特異的シークエンスにおける多数クローンの確保に時間を要したが、HAI-2 については一定の結論に達し、論文で発表した(Fukushima T et al. Cancer Sci 109: 2970-2979)。
マウス脳からの astrocyte 初代培養、不死化細胞樹立方法の確立に難渋している。

今後の研究の推進方策

今までに得られたCD24 発現変動に伴う miRNA 発現プロファイルを、mRNA 発現プロファイルと合わせてバイオインフォマティックス解析し、CD24 発現変動に伴う、膠芽腫における遺伝子発現制御のメカニズムを解析する。TCGA (The Cancer genome atlas) 等のデータも有効に活用したいと考えている。絞り込んだ miRNA について、Mir-X miRNA qRT-PCR Kit (TaKaRa) を用いて定量し、細胞やエクソソームでの発現や CD24 との連動を確認し、機能解析(該当miRNA についての mimic, inhibitor や強制発現・ノックダウン)を準備する。また、解析意義があると考えられた miRNA については、CD24 との関係のみならず、MALAT1 や MET シグナル関連因子との関係も検討する。
マウス脳からの astrocyte 初代培養、不死化細胞樹立方法の確立を急ぐ。また、HGF/MET シグナル関連因子の解析のためにマウス脳からの蛋白抽出方法や immunoblot 条件を確立する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Aberrant methylation and silencing of the SPINT2 gene in high-grade gliomas.2018

    • 著者名/発表者名
      Fukushima T, Kawaguchi M, Yamamoto K, Yamashita F, Izumi A, Kaieda T, Takezaki Y, Itoh H, Takeshima H, Kataoka H
    • 雑誌名

      Cancer Science

      巻: 109 ページ: 2970-2979

    • DOI

      10.1111/cas.13732

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Hepatocyte Growth Factor Activator: A Proteinase Linking Tissue Injury with Repair2018

    • 著者名/発表者名
      Fukushima Tsuyoshi、Uchiyama Shuichiro、Tanaka Hiroyuki、Kataoka Hiroaki
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 19 ページ: 3435~3435

    • DOI

      10.3390/ijms19113435

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 膵管癌細胞における長鎖非翻訳RNA MALAT-1 抑制の影響2018

    • 著者名/発表者名
      福島 剛、川口 真紀子、山本 晃士、山下 文希、田中 弘之、片岡 寛章
    • 学会等名
      第41回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] CD24 enhances malignant features of glioblastoma2018

    • 著者名/発表者名
      Fukushima T, Kawaguchi M, Yamamoto K, Tanaka H, Kataoka H
    • 学会等名
      第77回日本癌学会学術総会
  • [学会発表] 膠芽腫において HAI-2/SPINT2 はエピジェネティックに抑制されている2018

    • 著者名/発表者名
      福島剛、川口真紀子、山本晃士、田中弘之、片岡寛章
    • 学会等名
      第36回 日本ヒト細胞学会学術集会
  • [学会発表] 膠芽腫における長鎖非コード RNA の発現と MALAT1 の浸潤への関与2018

    • 著者名/発表者名
      福島剛、片岡寛章
    • 学会等名
      第27回 日本がん転移学会学術集会
  • [学会発表] Diffuse midline glioma, H3 K27M-mutant 五例の臨床病理学的検討2018

    • 著者名/発表者名
      福島剛、田村充、河野朋宏、山下真治、横上聖貴、竹島秀雄、秋山裕、田中弘之、片岡寛章
    • 学会等名
      第107回 日本病理学会総会

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公開日: 2019-12-27  

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