研究実績の概要 |
申請者はこれまでに、障害肝由来Thy1陽性間葉系細胞(Thy1)と骨髄由来間葉系細胞(BM-MCs)が分泌する細胞外小胞(Extracellular Vesicles: EVs)の中に、肝前駆細胞の増殖を促進する因子が含まれていることを見出し、miRNAの解析から、BM-MCsの候補因子としてmiR-146a-5pを同定した。今回、 EVsに含まれるサイトカインについての検討と、BM-MCs移植で誘導された肝前駆細胞をLaser-micro-dissection(LMD)で採取し、変動遺伝子をDNA microarray及びRealtime PCRで解析を行った。結果、サイトカインアレイ解析から、BM-MCs由来因子としては3因子、Thy1由来因子として2因子の計5因子を候補として抽出した。これらの因子を小型肝細胞培養に添加したところ、BM-MCs由来のInterleukin(IL)-6とStem cell factor(SCF)の2因子のみが増殖を促進した。次にBM-MCs移植により誘導された肝前駆細胞のDNA microarrayの結果、MAPKシグナルに関わる遺伝子、及び同定したサイトカイン受容体のIl6rと,Kitの発現が有意に増大していることを確認した。以上の結果から、移植したBM-MCsはEVsを分泌し、EVsに含包されるmiR-146a-5pとIL-6, SCFによって内在性肝前駆細胞が活性化され、増殖が促進されることを解明し、論文にまとめ現在投稿中である。
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