研究課題/領域番号 |
17K08775
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研究機関 | 森ノ宮医療大学 |
研究代表者 |
森 誠司 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 教授 (90467506)
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研究分担者 |
山本 浩文 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (30322184)
河口 直正 大阪大学, 医学系研究科, 特任准教授(常勤) (70224748)
濱田 吉之輔 大阪大学, 医学系研究科, 特任准教授 (10362683) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | FGF / インテグリン / FGFR / がん |
研究実績の概要 |
これまで我々は増殖因子FGF1がその受容体であるFGFRのみならず接着分子インテグリンとも相互作用することを明らかにしており、この細胞膜上での複合体形成ががんの浸潤転移において重要な働きを有すると考えている。昨年度に引き続き乳癌細胞株を用い、細胞の遊走や浸潤に対するFGFとインテグリンの相互作用の影響について解析をおこなった。また正常乳腺上皮細胞株を用い、がん進展のプロセスと考えられている上皮間葉転換 (EMT) におけるFGFとインテグリンの相互作用についても解析をおこなった。 1) 野生型FGF1およびFGF2、そしてインテグリンに結合できないFGF1およびFGF2の変異体を組換えタンパク質として精製し、増殖因子としての活性を評価した。FGFファミリー分子に属するFGF9についてもインテグリンとの相互作用を検討するため新たに組換えタンパク質として精製を試みた。 2) 昨年に引き続き複数の乳癌細胞株に対して、野生型FGFおよび変異型FGFを作用させ、2次元培養系にて形態的変化と、シグナル伝達について解析をおこなった。またこれら細胞を用い細胞遊走能や浸潤能について解析をおこなった。昨年、解析ができなかった細胞株についても検討した。その結果、乳癌の種類を問わず浸潤転移における共通メカニズムとしてFGFとインテグリンの相互作用が重要であることが示唆された。 3) 我々はFGF1がEMTを促進させることを明らかにしており、FGF2も同様な効果を有することを明らかにした。正常乳腺細胞にTGF-beta1をもちいてEMTを誘発させたとき、FGF2はEMT関連タンパク質の発現を増強した。変異型FGF2ではこの効果はみられなかった。これよりFGF2とインテグリンの相互作用がEMT促進に重要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
一昨年に研究分担者1名が抜けたことで一部の実験がやや遅れている。また用いている乳癌細胞株のいくつかに再現性に問題があるものがあり、それにより遅れがでている。新たに細胞株を入手し実験をおこなう予定である。 本年度はFGF1およびFGF2とインテグリンの相互作用について乳癌細胞株および正常乳腺上皮細胞について検討を中心におこなったが研究遂行上大きな問題は生じていない。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き研究分担者1名の減少分は研究代表者および2名の分担者で適宜負担し進めている。前年度に解析ができなかった正常乳腺上皮細胞を用いた3次元培養、および in vivo の実験として担癌マウスをもちいて変異型FGFによる腫瘍増殖の抑制効果について準備を行っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の遂行が一時停滞したことにより、抗体やシャーレなどの消耗品の使用頻度が減少した。これにより次年度使用額が生じた。次年度の当初に遅れている実験に集中するために繰り越し分は使用する。
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