研究課題
本研究は、ヒト自閉症原因遺伝子ニューロリギン4X(NLGN4X)について、自閉症での遺伝子発現の変化の有無、その発現の増減を引き起こす非遺伝的背景(エピジェネティックス、環境要因)とそれによって引き起こされる分子病態を明らかにし、自閉症発症のメカニズムの解明や、発現量を指標とした新規診断法、及び発現調節を標的にした治療法の確立とQOLの改善を目的としている。まずプロモーター領域のメチル化を主体としたエピジェネティックな発現制御機構の解析を行った。ユビキタスな発現抑制メカニズムを調べるため、HepG2細胞のプロモーターCpGメチル化を検討したところ、CGIプロモーター領域は広くメチル化されているのに対し、コアプロモーターはメチル化が弱かった。また、プロモーターに関与する転写因子の活性を調べたところ、コアプロモーターにはCEBPα,β及びδ、Sp1が、CGIプロモーター近傍にはSp1が、プロモーター全般にわたりMeCP2がそれぞれ結合していることがわかった。特に未分化幹細胞や神経分化初期に働くNLGN4XのコアプロモーターにはCEBPδが正に働いていることが確かめられ、非神経細胞への分化過程での各プロモーターのCpGメチル化の増加も確認された。次にNLGN4Xを介したAVP分泌制御機構の解析を行った。AVP分泌細胞で発現するNLGN4Xリガンドを調べNRXN1αが有意に発現が高いことがわかった。分泌型NRXN1α-Fc及びNLGN4X mimetic peptideをAVP分泌細胞に作用させたところcAMP上昇がみられ、NLGN4X- NRXN1α間の相互作用が確認された。また、細胞内でNLGN4Xと相互作用するタンパク質を免疫沈降法によりスクリーニングしたところ、AP4M1やCAPS2の他にSNAP25、Syntaxin1A、Syntaxin4、LAMP2が同定された。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件) 備考 (2件)
Analytical Sciences
巻: 40 ページ: 935~941
10.1007/s44211-024-00550-6
https://www.pref.aichi.jp/addc/eachfacility/hattatsu/department/index.html
https://www.pref.aichi.jp/addc/pdf/event/R04Nenpo.pdf