研究課題/領域番号 |
17K08781
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
蕨 栄治 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70396612)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | NASH |
研究実績の概要 |
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は、飲酒歴がないにもかかわらず中性脂肪を主とする脂肪の蓄積が肝細胞に起こり、炎症・線維化をきたす致死的疾患である。本邦では200万人以上の罹患者がいると推定され今後も増大することが予想されており、対策が社会的急務となっている。申請者らは、p62ならびにNrf2遺伝子を二重欠損したマウスを作製し、これがヒトNASH病態と非常に類似した表現型を示す、これまでに無い優れたモデル動物であることを見出し、その発症機序について解析してきた。本研究はその内容を発展させ、DKOマウスにおけるNASH発症機序を組織、細胞、分子レベルで解明することを目的としている。 今年度は、(1)NASH発症の責任臓器・組織を同定するために、腸管上皮細胞あるいはクッパー細胞(マクロファージ)特異的にNrf2の発現をレスキューしたマウスの作製、および(2)次世代シーケンサーを用いたDKOマウスの腸内細菌叢の野生型との詳細比較な比較を行った。(1)については、遺伝子改変マウスの繁殖が難しく、まとまった個体を得ることに苦慮したために想定より時間がかかっているが、繁殖数をできる限り増やすことで対応し、交配を進めている。(2)については、DKOマウスでは野生型およびNrf2単独欠損と比較してグラム陰性菌の割合が増加しており、この現象は過食を引き起こすp62単独欠損マウスでも見られたため過食に起因した腸内細菌叢の変容が起きていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝子改変マウスの繁殖が難しく実験に必要な個体を得るのに想定より時間がかかっているが、その他は概ね順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き臓器特異的なNrf2遺伝子レスキューマウスを得るための交配を継続する。また、計画通り、腸管透過性の亢進機序について、p62またはNrf2遺伝子欠損Caco-2培養細胞を樹立してバリア機能における両遺伝子の役割を解析していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に購入した試薬が予定より安価であったため少額の未使用額が生じた。次年度に必要となる予算と合わせて有効に使用する予定である。
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