研究課題
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は、飲酒歴がないにもかかわらず中性脂肪を主とする脂肪の蓄積が肝細胞に起こり、炎症・線維化をきたす致死的疾患である。本邦では200万人以上の罹患者がいると推定され今後も増大することが予想されており、対策が社会的急務となっている。申請者らは、p62ならびにNrf2遺伝子を二重欠損した(DKO)マウスを作製し、これがヒトNASH病態と非常に類似した表現型を示す、これまでに無い優れたモデル動物であることを見出し、その発症機序について解析してきた。本研究はその内容を発展させ、NASH発症機序を組織、細胞、分子レベルで解明することを目的としている。今年度は、DKOマウスの腸内細菌叢に、野生型およびNrf2単独欠損と比較してグラム陰性菌の割合が増加していることが認められたことから、糞便からDKO特異的に含まれることが予想される炎症性代謝産物の単離を目的に、水溶性、および脂溶性画分のを単離し、さらに液体クロマトグラフィーによりそれぞれ20のフラクションに分画した。また、昨年度に引き続き、臓器特異的なNrf2遺伝子レスキューマウスを得るための交配を行なった。
3: やや遅れている
遺伝子改変マウスの繁殖が難しく実験に必要な個体を得るのに想定より時間がかかっているが、その他は概ね順調に進行している。
分画が完了した糞便中代謝産物について、細胞に及ぼす炎症惹起について、Raw-blue細胞を用いたin vitroアッセイを行う。また、引き続き臓器特異的なNrf2遺伝子レスキューマウスを得るための交配を継続する。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 オープンアクセス 1件、 査読あり 5件)
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