研究課題/領域番号 |
17K08786
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
Kim Minsoo 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (50466835)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 細菌感染 / ユビキチン |
研究実績の概要 |
蛋白質のユビキチン化はユビキチン活性化酵素 (E1)、ユビキチン連結酵素 (E2)、ユビキチンリガーゼ (E3) の連鎖的な酵素反応によって起こり、基質蛋白質にユビキチンが共有結合される。多くの場合、ユビキチン化された蛋白質はプロテアソームによって認識されて分解されるが、分解以外にも多様な様式で蛋白質の機能を制御することが明らかになった。ユビキチン修飾系は発生や免疫系機能などの生理機能、また、がんや神経変性疾患といった種々の疾患に関わることがよく知られているが、細菌感染における役割は不明であった。 本研究では、細菌感染に関わる宿主のユビキチン修飾システム機能解明を目指している。特に本年度は、ユビキチンの翻訳後修飾による感染細胞内のシグナル伝達に異常について解析を行った。我々は、腸管病原性大腸菌の感染細胞において、ユビキチンが翻訳後修飾 (脱アミド化) を受けることを見出した。脱アミド化を受けた機能解明のために、X線結晶解析を用いて脱アミド化型ユビキチンの構造を決定した。脱アミド化型ユビキチンを用いて、ユビキチン鎖形成能を調べた結果、K48 鎖は形成しないが、K63鎖を形成することが明らかになった。さらに、ユビキチン結合蛋白質との結合能や脱ユビキチン化酵素による切断にも変化があることを見出した。これらの結果から、腸管病原性大腸菌は感染細胞内でユビキチン修飾システムを制御し、感染に有利に利用すると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
立体構造解析により、反応の分子基盤を解明することができたので、おおむね順調に解析が進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に得られた成果と諸処の状況を検討する。その上で、以下の点と前年度に未了の課題がある場合にはその課題について優先事項を決定し、研究を推進する。 (a)脱ユビキチン化型ユビキチンを発現する細胞株を作製し、脱ユビキチン化による細胞内ユビキチン修飾系の異常を調べる。まず、ユビキチンは4種類細胞内で発現しているため、それらの遺伝子と脱アミド型ユビキチンを置換した細胞を樹立する。その後、細胞抽出液からユビキチン鎖の定量を質量分析で測定する。さらに、感染細胞内での脱アミド化ユビキチン鎖を同様に定量する。 (b)ユビキチンはユビキチン結合蛋白質と結合することにより下流にシグナルを伝達し、感染応答をすることが知られている。脱アミド化ユビキチンを用いて、さまざまなユビキチン結合蛋白質との結合を調べる。特定のユビキチン結合蛋白質と結合に異常がある場合は、そのシグナルの異常を調べる。質量分析結果と合わせて解析し、脱アミド化ユビキチンが細菌感染におけるユビキチン修飾経路制御メカニズムを解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
感染細胞内での脱アミド化されたユビキチンによる影響を調べるために定量的質量分析を行う予定である。そのためには、大量の細胞培養試薬、培地及びのペプチド合成が必要であり、次年度に購入が必要である。
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