研究課題/領域番号 |
17K08790
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
稲垣 匡子 県立広島大学, 生命環境学部, 教授 (70363588)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | レプチン / 胃 / 腸上皮化生 / 食餌性肥満 |
研究実績の概要 |
レプチンシグナルの制御胃がんや腸上皮化生につながることを、我々は明らかにしてきた。消化管上皮細胞特異的SOCS3欠損(T3b-SOCS3 cKO)、あるいはSOCS3とObRの二重欠損[T3b-(SOCS3xObR )cKO]マウスを用い、胃がん発症及び抑制過程での胃上皮細胞の細胞内環境変化を調べた。T3b-SOCS3 cKOは、離乳前の胃がん発症以前から、胃レプチンシグナルの亢進と共に、リソソームマーカータンパクであるLAMP2、低酸素状態で誘導されるミトコンドリアのCOXIV-2の発現が上昇した。一方、胃レプチンシグナルが遮断され、胃がん発症が抑制されるT3b-(SOCS3xObR )cKOでは、このような変化はほとんど認められなかった。一方、食餌性肥満モデルマウスにおいて、胃の前がん病変である腸上皮化生が発生するが、その時にも同様な現象が認められる。以上の結果から、レプチンシグナルが原因の腸上皮化生及び胃がんでは、細胞内オルガネラの中でも特に、リソソームとミトコンドリアの機能破綻が起こることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オルガネラ恒常性破綻はじめ、これまでがん形成時に報告されてきた現象が、レプチンシグナルを介した腸上皮化生形成初期段階において、すでに発生することが示された。 特に消化管上皮細胞特異的にレプチンシグナルを活性化及び遮断したマウスにおいて、胃粘膜が腸型に変化している際に、病理変化とレプチンシグナル経路およびその標的分子の関係が明確に示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
食餌性肥満及びレプチンシグナル経路の遺伝子改変マウスの両モデルを用い、正常から腸上皮化生に至る過程での母地を支える、胃粘膜での免疫反応について、調べていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験が順調に進み、当初予定していた試薬などが節約できた。
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