研究実績の概要 |
平成29年度に、消化管上皮細胞特異的T3b-SOCS3 cKO、あるいはSOCS3とObRの二重欠損[T3b-(SOCS3xObR )cKO]マウス、食事性肥満マウスの胃粘膜で低酸素状態を示すこと見出したことから、さらに平成30年度は、ピモニダゾールをこれらのマウスに投与し、レプチンシグナルと幹細胞マーカーや、多能性維持因子の発現を調べた。ピモニダゾール陽性部位に、Notch, Lgr5, Nanog などの発現が増加し、リン酸化ObRの発現部位とも近似していた。レプチンシグナルの主要経路であるPI3K-Akt経路の中でも、ClassIII PI3K複合体(Vsp34など)が、病態形成の初期に発現が高まった。 このような細胞内環境と共に、細胞外環境である常在菌の変化を食事性肥満モデルで調べた。メタゲノム解析および常在菌qPCRの結果、高脂肪食摂取1週目から、胃および大腸で常在菌構成異常であるdysbiosis を顕著に示した。特に胃は大腸に先立ちdysbiosisを起こし、Lactobacillus優勢であることが明らかになった。このような変動は、ObR変異であるdb/dbマウスでは認められなかったことから、レプチンシグナルが消化管常在菌構成を方向付ける可能性が示された。
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