研究課題
これまで、実験的自己免疫性心筋炎(EAMC)の誘導にはマウス心筋ミオシン重鎖αアイソフォームの614-629番残基ペプチド(Ac-SLKLMATLFSTYASAD; N端のセリンはアセチル化)(MyHCα614-629)と完全フロイントアジュバント(CFA)との1:1(v/v)エマルジョンを作製、BALB/cマウスに皮下注射、百日咳毒素を追加アジュバントして腹腔内投与し、7日後にエマルジョンのみ追加免疫という標準的方法を使用してきた。しかし、ペプチドの水溶性に問題があるためEAMCの誘導率が悪く、実験治療の奏功性の判定に苦労することが少なくなかった。本年度のAnzaiらの論文(J Exp Med 216: 369-83, 2019)で、抗原ペプチドコアとしては同じであるが、両端にアルギニンを付加したMyHCαR614-629Rを用いていることを知った。そこで同じペプチドを合成し、試行したところ、水溶性・誘導率が向上することがわかり、以降このペプチドを用いて実験を行った。前年度の結果である感作時のiNKT細胞活性化がEAMC軽症化に寄与する結果を受けて、iNKT細胞欠損のTRAJ18-/-マウス(東大医科研・現金沢大医の渡会博士より供与)にEAMCを誘導した。その結果、野生型のBALB/cに比較して、TRAJ18-/-マウスで炎症は重症化し(クレアチンキナーゼ・トロポニンIなどの心筋破壊指標が高値)、単核細胞浸潤・線維化病巣面積は有意に増大した。これは野性型マウスではNKT細胞リガンドであるα-GCを投与したマウスにおいてTNF-α-低下とIL-10増加を伴って、心筋への浸潤細胞・線維化病巣の減少が観察されたことと併せ、iNKT細胞の存在や免疫時におけるiNKT細胞の活性化がEAMCの軽症化に寄与することを示していると考えられた。
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