研究課題
ダイナミンファミリーは、生体膜上で重合し膜変形に関わることが知られている。まずは、マラリアダイナミン様タンパクの溶液内での重合状態を、溶液のイオン強度を変化させ、ネガティブ染色と電子顕微鏡を組み合わせて調べた。溶液中のNaCl濃度を100 mM (高イオン強度)及び10-30 mM (低イオン強度)に変化させ、その重合状態をネガティブ染色と電子顕微鏡を用いて観察した。両実験条件下とも大きな重合体を確認し、用いた条件での重合体形成にイオン強度依存性をはっきり確認できなかった。今後、さらに、高いイオン強度条件下でも観察を進める。また、高解像クライオ電子顕微鏡を用いてこの重合体の構造解析を進めるために、ほ乳類ホモログの構造解析から、オリゴマー形成能を欠いている変異体を参考として、マラリアダイナミン様タンパクにおいて重合度が調節可能と考えられる変異体をコムギ無細胞系にて発現するプラスミドを作成した。今後、この変異タンパクを調製し、重合能の有無やGTPase活性等、生化学的に性格付けを行いクライオ電子顕微鏡観察に適するのかを検討する。マラリアダイナミン様タンパクは、生体膜を変形させる。変形した人工脂質膜上のタンパクの配向を高解像度クライオ電子顕微鏡にて調べるために、試料作成の最適化条件の探索をはじめた。蛍光ラベル化リポソームを使った膜変形測定法を構築すると共にマラリアダイナミン様タンパクの膜結合に必要な脂質を同定した。今後、生化学的に結合活性を定量・解析する予定である。
3: やや遅れている
マラリアダイナミン様タンパクの重合体の構造解析、変形した膜上のタンパクの構造解析のために高解像度クライオ電顕を使用予定である。この観察のために、試料作成の最適化に注力したが、未だ観察に至っていない。原因は、本研究から、これまでに観察されているほ乳類ダイナミンの性質と大きく異なることが判明し、既存の手法が使えないことがわかったためである。この点を踏まえ、さらに試料調製を改良中である。
ほ乳類ダイナミンとの性状の違いを比較検討しながら、マラリアダイナミン様タンパクに特化したアッセイ法を開発し応用する。特に、これまでの実験から既存の生化学的な解析が難しい傾向があるため、本対象タンパクに適した方法に改良していく。
今年度に配分された金額は、該当研究に効率良く使用できた。生じた助成金は、5042円であり試薬などの研究消耗品に対して使用するには少ない。よって次年度効率良く使用するため繰り越した。(使用計画)次年度に繰り越し、消耗品として使用する。
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eLife
巻: 7 ページ: 1,19
10.7554/eLife.30246