研究課題
リポソームと熱帯熱マラリア原虫ダイナミン関連タンパク2を数時間、反応させると、均一な径を持つチューブ状にリポソームが変形した。この膜表面にタンパク重合体が規則的に配向していることを電顕観察で確認した。昨年度に引き続きクライオ電子顕微鏡を用いて、このダイナミン関連タンパク2の詳細な構造を解析するための条件を探索中である。さらに、単層脂質膜上のダイナミン関連タンパク2の重合状態を電子顕微鏡で観察するためのデバイスを作成した。単層脂質膜はタンパクによる膜変形に制限があるため、脂質膜上に配向したダイナミン関連タンパク2を観察することが理論上可能である。電顕観察用に支持膜をはったグリッドに、単層脂質膜を敷いてタンパクを反応させた。ダイナミン関連タンパク2は規則的に配向し、また、島状に存在していた。一方、ダイナミン関連タンパク2は、生理的イオン強度緩衝液中でやや球状の重合体を形成した。ダイナミン関連分子は、自身のGTPaseと共役してチューブ状に変形させた膜を切断する。そこで、ダイナミン関連タンパク2のGTPase活性と共役した膜切断活性を調べた。ダイナミン関連タンパク2による膜変形が観察される条件で、GTPase活性を測定したが、GTPase活性促進効果は観察されなかった。また、GTPの添加による小胞化も観察できなかった。さらに、ダイナミン関連タンパク2にGTPase活性に依存した小胞化活性があるのか否かを調べるため、GTPase活性欠失変異体を作成した。このタンパクの解析も加えて、膜変形とGTPase活性の相関を調べる予定である。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)
Life Sci Alliance
巻: 3 ページ: e201900549
10.26508/lsa.201900549