マラリアは3大感染症の一つであり、世界で最も被害の大きい寄生虫感染症である。抗マラリア薬は主要な治療法であるが、薬剤耐性の出現、拡散により、その対応が急務である。熱帯熱マラリア原虫は、赤血球に寄生すると膜輸送を発達させ栄養分を取り込み、また複雑な膜輸送を伴う寄生環境を構築する。この膜輸送に必須である膜制御タンパク候補をみつけ、その性状を解析した。このタンパクの機能阻害は、膜輸送の不全を引き起こすと考えられる。この知見から、これらタンパクを標的に抗マラリア薬の創製が可能となった。本研究の進展は、原虫生理の理解と創薬の展開に大きく寄与していくものと考えられ、その医学薬学的意義も深い。
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