研究課題/領域番号 |
17K08814
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研究機関 | 神戸常盤大学 |
研究代表者 |
鈴木 高史 神戸常盤大学, 保健科学部, 教授 (70305530)
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研究分担者 |
川田 均 長崎大学, 熱帯医学研究所, 准教授 (80363480)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ナトリウムチャンネル / Aedes / Crispr/Cas9 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、過去にピレスロイド剤の使用報告があるが、電位依存性Na+チャンネル遺伝子のkdr変異の調査がほとんどされていない地域として、ネパールのカトマンズとバラトプルを選択し、ネッタイシマカ (Aedes aegypti)の採集を主に市街地の道路沿いに点在する放置タイヤに発生する幼生の採集により行った。採集地点数は,カトマンズ12箇所,バラトプル22箇所であった。 採集した幼虫をd-アレスリンを用いた簡易的な殺虫試験によって幼虫のノックダウン時間をスコア化し、感受性インデックスを算出することによってピレスロイド感受性の高低を判断した。幼虫は個体別にアルコールに漬けて持ち帰り、外部形態による同定を行った後にDNAを抽出してダイレクトシーケンスを行い、電位依存性ナトリウムチャンネルにおけるミューテーションの有無を調べた。 その結果,ネッタイシマカにおいてV1016Gのミューテーションがいずれの地域においても発見され,ミューテーション頻度とピレスロイド低感受性の間には顕著な相関が見られた.V1016Gの遺伝子頻度はカトマンズの方が高く約50%に達し、ホモ個体の頻度は25%であった.他のミューテーション(L982W, S989P, I1011M(or V), F1534C)の頻度はゼロであった。 電位依存性Na+チャンネル遺伝子の培養細胞への導入プロトコールに関しては、既に確立してきたが、導入後チャネルのプロファイル測定を安定して行うことが難しいことが明らかになったため、再度検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ネパールを採集場所に選択し、現地に行き、ネッタイシマカの幼生を採集した。その後の解析を含めて、研究計画通り順調に進めることができた。 一方、培養細胞にCrispr/Cas9システムを用いて、電位依存性Na+チャンネル遺伝子を導入した結果、そのプロファイル測定が安定しなかった。電位依存性Na+チャンネル遺伝子がタンパク質まで翻訳されていることは確認したので、活性を持たせて安定して発現させるシステム構築が必要であることが明らかになった。 以上により、現在の研究進度は「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
フィールドの蚊サンプル採集、解析は平成29年度と同様に進めていく。 電位依存性Na+チャンネル遺伝子を培養細胞で安定して(活性を持たせて)発現させるシステムに関しては再検討が必要であることが明らかになった。これに関しては、タグの再検討、ベータサブユニットの共発現を行うことにより解決を試み、研究を推進していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
電位依存性Na+チャンネル遺伝子の培養細胞への導入プロトコールの再検討が必要となり、引き続いてのプロファイル解析を行えなかったため、当該用途の使用額が未使用となったため。
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