研究課題/領域番号 |
17K08814
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研究機関 | 神戸常盤大学 |
研究代表者 |
鈴木 高史 神戸常盤大学, 保健科学部, 教授 (70305530)
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研究分担者 |
川田 均 長崎大学, 熱帯医学研究所, 准教授 (80363480)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ナトリウムチャンネル / Aedes / Crispr/Cas9 |
研究実績の概要 |
本研究は疾病媒介蚊のピレスロイド殺虫剤の標的分子であるVoltage-Gated Sodium Channel分子の変異をフィールド調査により解析し、あわせて、当該変異によりどの程度殺虫剤耐性になるかを培養細胞レベルで解析を行うことを目的とする。
疾病媒介蚊のフィールド解析の結果、ネパールのネッタイシマカは、ピレスロイド系殺虫剤に対して高い抵抗性を示した。また、本殺虫剤の標的分子であるVoltage-Gated Sodium Channel分子に変異(V1016G)が多く観察され、この変異はネパール国内で出現したのではなく、既に変異を有するネッタイシマカが近隣諸国から2000年代になってから、ネパールに侵入したと推察された。一方で、ネパールのヒトスジシマカはピレスロイド系殺虫剤に対して抵抗性は低く、またVoltage-Gated Sodium Channel分子に変異は検出されなかった。以上に関して論文に投稿を行った。
ネッタイシマカのVoltage-Gated Sodium Channel分子をHEK293細胞のAAVS1セーフハーバー領域に組み込み、発現を行った。さらに、同時に発現させたEGFPシグナルを指標に、発現量が多いと考えられる細胞のクローニングを行った。それにより、電流が測定できる細胞の割合は若干増加したが、まだ安定的に電流を測定できる状況には至らなかった。すなわち、本分子を恒常的に発現させるシステムでは、Voltage-Gated Sodium Channel分子の機能解析を行うのは難しいと考えられた。 そこで、テトラサイクリンで発現誘導が可能なシステムの構築を目指し、新たに発現誘導可能なベクター構築を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Voltage-Gated Sodium Channel遺伝子を培養細胞ゲノムに迅速に導入するシステムの構築は終了し、実際にVoltage-Gated Sodium Channel分子が発現していることを確認した。しかしながら、本分子を安定的に発現させる細胞の構築ができていないため。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度までに作製を完了したベクターを用いてVoltage-Gated Sodium Channel分子をHEK293細胞ゲノムに導入し、テトラサイクリンにより発現誘導を行う。 個々の培養細胞で安定した電流が測定できたら、引き続き本システムを用いて、変異を導入したVoltage-Gated Sodium Channel分子の発現細胞構築を行い、変異とピレスロイド殺虫剤耐性との関連に関して解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
構築した遺伝子発現システムでは安定してのVoltage-Gated Sodium Channel分子の発現が難しいことが判明し、当該システムを用いての解析をいったん中断し、新規のベクター作製を行った。 このため、新たに作製したベクターを用いての新システム構築・解析は次年度に行うことになり、そのための研究費(消耗品費用)が未使用となり、次年度使用額となった。 次年度は新システムの評価と変異がVoltage-Gated Sodium Channel分子の機能に与える影響解析を新システムを用いて行う。次年度繰越額は本解析の実施に使用する。
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