本研究ではRNA結合ドメインを特徴的に持つマラリア原虫独自の転写因子であるPREBPおよび類似した構造を持つ機能未知タンパクPf1の細胞内局在を観察した結果、これらは異なるタイミングで核局在しており、転写因子として働くタイミングの違いが示唆された。続いて、PREBPの調節ターゲット遺伝子候補をChIP-Seqによって同定した。同定された約80のターゲット遺伝子候補のうち、約4割はPfEMP1、rifinなどの表面抗原タンパク質だった。今後はPREBPがこれらの表面抗原の発現タイミングをどのように制御しているかを明らかにすることで、原虫の宿主内寄生適応機序の一端が明らかとなることが期待できる。
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