研究課題
多剤耐性菌の出現は現代の世界的な問題であり、感染症を克服することは医学的重要課題の一つである。耐性菌が出現するメカニズムを理解し、それらを抑制する手法を開発することは急務であり、迅速な多剤耐性菌検出法の開発が求められている。本研究は、細菌の多剤耐性化過程において形態学的変化が生じていることに着目し、機械学習を用いて耐性菌の画像判別法を確立することを目的とする。前年度のエノキサシン耐性株と非耐性株を用いた実験により、エノキサシン耐性株4系統について各3ブロック、非耐性株について計6ブロック用いて多量な電子顕微鏡画像から100万枚のパッチ画像を撮影し、3分割交差検証を行なった結果、90%を超える高い精度での深層学習判別に成功した。今年度は他の薬剤耐性菌株の画像判別を行うための取り組みをした。シプロフロキサシン耐性株、セフィキシム耐性株、トリメトプリム耐性株について凍結固定・凍結置換法を用いて試料作成を行った。この内、シプロフロキサシン耐性株、セフィキシム耐性株について超薄切片を作成し電子顕微鏡観察をした。その結果、シプロフロキサシン耐性株については、球に近い概形を持つ株や異染顆粒が見られない、または少ない株など、同じキノロン系抗菌薬の耐性株であるエノキサシン耐性株に類似した形態の変化が見られた。また、セフィキシム耐性株については、概形の歪みや細胞膜の滑らかさに関して非耐性株との違いが認められた。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Front. Cell Dev. Biol.
巻: 7 ページ: 160
10.3389/fcell.2019.00160