百日咳はワクチンにより予防可能な疾病の一つであるが,ワクチン接種率が高い先進国においてもなお散発的な流行が認められる。現行ワクチンの免疫持続期間が5-10年と短いこと,その結果,百日咳に罹患した軽症状の成人がワクチン未接種乳児の感染源になっていること,また百日咳の典型的な症状である咳発作に効果的な薬剤が未開発であることが問題となっている。本研究では百日咳菌に特異的な病原因子であるBteAの作用機序の解明を試み,その一端を明らかにした。本研究がさらに発展すれば,BteAの機能を特異的に抑制するための新規薬剤開発のための分子基盤が構築可能である。
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