研究課題/領域番号 |
17K08839
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
渡邉 峰雄 北里大学, 感染制御科学府, 准教授 (40279245)
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研究分担者 |
蒲地 一成 国立感染症研究所, 細菌第二部, 室長 (10260275)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 百日咳 / 再興感染症 / バイオフィルム / 莢膜 |
研究実績の概要 |
百日咳患者から、既知病原因子のほとんどを産生しない特異な百日咳菌が分離された。この菌はワクチン抗原も産生しないため現行ワクチンは無効と考えられ、公衆衛生上の脅威となり得る。本研究はこの新型百日咳菌の病原性発現機構を調べ、医薬品やワクチンの開発に向けた基礎的治験を提供する目的で開始した。平成29年度は、新型百日咳菌KF-19株に以下5つの変異導入(欠損株作成)を行う予定であった。 ①未報告の塩基置換が検出されたバイオフィルム関連遺伝子、②バイオフィルム合成遺伝子bpsローカス、③未報告の塩基置換が検出された莢膜関連遺伝子、④莢膜合成遺伝子kpsM-ecbOローカス まず、欠損株および組み換え株を作出するために、GatewayシステムとpABB-CRS2プラスミドを使用した変異導入用コンストラクトを設計する必要があったことから、上記領域の前後を含めたPCR増幅を試みた。 上記領域のPCR増幅はすべて成功したものの、百日咳菌の高GC比率などから困難を極め、全て完了するまでに大変時間がかかり、変異体の作出作業に至らなかった。しかしながら、平成30年度以降に予定していた百日咳菌東浜株改変に必要な遺伝子増幅も完了させた事から、全体としては順調に進行したと考えている。 一方で、平成30年度以降に予定していた各種バイオアッセイの条件設定も前倒しして実行した。その結果、細胞付着性試験、血清抵抗性試験、食菌抵抗性試験の全てについて詳細な条件設定を完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝子領域のPCR増幅が困難を極め、時間がかかったためKF-19変異株の作出に至らなかった。しかし結果として領域の増幅はすべて成功したため、今後は平成30年度以降に予定していた東浜株変異体の作出を含めて技術的困難はない。一方で、平成30年度以降に行う予定のバイオアッセイについて前倒しで基礎検討を完了した。 以上の事から、おおむね順調に進展していると判定した。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、KF-19株と東浜株における変異体の作出を同時並行で行う。使用する技術や手順はまったく同一であり、むしろ効率よく作業を進めることができると考えている。 バイオアッセイについては詳細も含めた方法をすでに確立したため、平成31年度予定していた研究内容はむしろ前倒しになるのではないかと予測している。
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