病原因子PE_PGRS62が結核菌表層に存在することを明らかにした。PE_PGRS62の結合タンパク質として同定した結核菌Rv0347タンパク質は、データベース検索の結果からシグナル配列、膜貫通領域、(親水性の)膜外領域を有していることが分かった。PE_PGRS62を含むPE/PPEファミリータンパク質のうち53のタンパク質が菌表層に存在すると考えられているが、ファミリータンパク質に共通した輸送機構が分かっていない。Rv0347は結核菌の生存に必須な遺伝子であることから、PE/PPEファミリータンパク質の輸送機構としての役割の研究のみならず、Rv0347へ結合し結核菌を死滅させるペプチド探索を目指した。 これまでの他研究グループの研究よりPE_PGRS33が、N末端領域のPE領域を介して菌体表層に存在することが報告されていた。N末端のPE領域だけでなくC末端領域がPE_PGRS62の菌体表層への局在を促進することを観察した。 PE_PGRSファミリータンパク質の共通機能はPE領域を介して菌体表層に存在することであり、どのような機構で結核菌の細胞膜/壁に局在するか良く分かっていない。PE_PGRSを含む168のPE/PPEファミリータンパク質のうち、53のタンパク質が結核菌表層に存在すると予想されている。このうち、PE_PGRS62は実際に結核菌で菌体表層に存在することが確認できていたため、PE_PGRS62-Myc5-Hisを発現した結核菌を用いた2回免疫沈降実験を行った。実験の結果、Rv0347膜タンパク質を同定した。 PE_PGRS62とRv0347の結合性およびRv0347の菌体表層への局在について解析するために、抗Rv0347抗体を作製した。作製した抗体を用いたウェスタンブロッティングにより確認したところ、Rv0347タンパク質は強毒結核菌株でより多く発現していた。
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