研究実績の概要 |
本研究では主にA型インフルエンザウイルスX31株(H3N2)の感染系を用いて解析を始めたが、今後の研究の発展性なども考えA型インフルエンザウイルスNarita株(H1N1 パンデミック株)の感染系に変更を行った。 平成29年度は、Narita株 HAのHead部位に対するBCRを有するGC B 細胞と、Stem部位に対するBCR(万能抗体)を有するGC B 細胞を、新たに作製し直したプローブを用いて分離し、それらの細胞についてエピトープ同定によるプローブ分離の妥当性の検討と、さらに、その後、Head部位、Stem部位特異的BCRのレパトア特徴解析を以下の3つの方法を用いて行った。 A. プローブ検定が妥当であるか検定のため、それぞれ(Head部位,Stem部位)の分画からシングルメモリーB細胞を単離し、BCR H, L鎖を培養細胞で発現できるベクターに組み込み、BCRを人工抗体として発現させた。それらの抗体が抗原であるHAのH部位、部位にエピトープを有するかどうかELISA法を用いて検定を行い、その結果、85%以上の回収細胞がHA 抗原特異的BCRを有していることが確認できた。 B. A.で得られた細胞群についてH鎖、L鎖のシングルセルPCRを行い数百細胞レベルのBCR配列情報を既に得ている。現在は得られたレパトア情報の特にClonal Diversity、Clonal Genealogyの特徴についてを比較検討を行っている。 C. A.方法で誘導した抗体についてELISA法を用いてそれぞれのCloneの持つ抗原親和性を測定できる系の立ち上げに成功した。現在は、同一個体から回収したH部位,S部位特異的メモリー細胞、GC細胞について人工抗体作製を迅速に進めており、GCから誘導されてくるメモリー細胞に抗原親和性の観点から特徴があるか検証中である。
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