研究課題/領域番号 |
17K08865
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
大桑 孝子 金沢医科大学, 医学部, 助教 (20460347)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | サフォードウイルス / 蛍光タンパク質発現組換えサフォードウイルス / 感染受容体 / cDNAライブラリー |
研究実績の概要 |
サフォードウイルス(SAFV)は、2007年に初めて分離・同定されたヒトに感染するピコルナウイルス科カルジオウイルス属のウイルスである。世界各地で気道炎、胃腸炎、手足口病様疾患、無菌性髄膜炎、脳炎、膵炎など様々な検体から検出されており、近縁のタイラー脳脊髄炎ウイルス(TMEV、マウスに脳脊髄炎や脱髄を引き起こす)やエンテロウイルスと同様に多様な疾患の原因になると考えられている。 本研究では、SAFVの感染受容体を同定することによって、まだ特定されていないSAFVの標的細胞・臓器を明らかにし、SAFVの病原性と疾患の関連について詳細な解析を行うことを目的としている。 初年度である平成29年度は、SAFV高感受性HeLa細胞よりcDNAライブラリーを作製した。これらの高感受性HeLa細胞由来cDNAをレトロウイルスベクターを用いて、SAFV非感受性であるBHK-21細胞に発現させた。それらの細胞に、新たに作製した蛍光タンパク質発現組換えSAFV(感染細胞内でウイルスタンパク質の合成が始まると蛍光タンパク質を発現する組換えSAFV)を感染させ、蛍光顕微鏡下で蛍光タンパク質発現細胞の多寡を指標に、感染受容体あるいは感染を促進させるcDNAを含むライブラリープールを選別した。選別したライブラリープールをさらに分割し選出していくことによって感染受容体あるいは感染を促進させるcDNAを同定する。現在このスクリーニングの過程が進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の計画では、感染細胞においてGFPを発現する組換えSAFVの使用を予定していた。しかし、新たに作製した別の蛍光タンパク質を発現する組換えSAFVの方が、ウイルスを継代しても蛍光タンパク質の発現が維持されやすいことがわかり、この組換えSAFVのストックウイルスの調製に時間を要した。また、BHK-21細胞は、SAFVに非感受性ではあるが、蛍光タンパク質発現SAFVの感染によって蛍光タンパク質の発現が低頻度ながら見られたことから、陰性対照の条件検討に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
蛍光タンパク質発現組換えSAFVのストック調製方法の確立およびスクリーニングの条件検討が完了したので、引き続き感染受容体の探索・同定を行う。また、感染受容体だけでなく、ウイルスの感染・増殖を促進させる因子の同定も視野に入れて選定を行い、得られた候補遺伝子群から、SAFVの感染・増殖を促進する遺伝子を同定する。さらに、それらの遺伝子についてSAFV感染における機能を解析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は、研究助成金の99.9%を使用した。30年度も引き続き感染受容体の探索を行い、感染受容体の同定を遂行する。さらに、それらの遺伝子についてSAFV感染における機能を解析するために、実験試薬、培地、器皿類の購入のための物品費に使用する計画である。
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