研究課題
申請者らは,ウイルス増殖過程においてNPが宿主のヒストンアセチル化酵素GCN5とPCAFにより,アセチル化されることを報告した(JBC, 2018).本研究では,アセチル化NPと相互作用するタンパク質に焦点を当て,NPアセチル化の生物学的意義を解明する.過去の論文により,SMARCA2やSMARCA4といったブロモドメインタンパク質とNPとの結合が示されていることから,共沈降法でこれを確かめる実験を開始した.SMARCA2とSMARCA4の組換えタンパク質は既に作成済である.NPは,無細胞系システムを用いて,種々のタグを付加したものを発現させた.しかし,NP組換えタンパク質を大腸菌で作成すると,その過程で先にアセチル化されることが問題であったが,無細胞系システムを用いても同様にアセチル化されていた.今後は発現後に脱アセチル化酵素で処理することで,このアセチル化を外す実験を行う予定である.また,NPの研究遂行中にPAのアセチル化も発見した.PAのエンドヌクレアーゼ活性は,ウイルス増殖過程において必要不可欠な反応である.我々の研究により,① PAがGCN5とPCAFによってアセチル化を受けること,② PAアセチル化によってエンドヌクレアーゼ活性が賦活化されること,③ アセチル化を受けるアミノ酸はK19であること,④ K19をグルタミンに変異させ(K19Q),定常的なアセチル化をミミックするとエンドヌクレアーゼ活性が賦活化されることなどを示した.また,アセチル化を受けないが,リジンの正電荷をミミックするアルギニンに変異させると(K19R),エンドヌクレアーゼ活性は増強されなかった.以上より,アセチル化によってPAのエンドヌクレアーゼ活性が調節されることが示唆された.その他,エボラウイルスNPとVP40が試験管内においてアセチル化修飾されることも報告した(BBRC, 2018).
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) 備考 (2件)
Frontiers in Behavioral Neuroscience
巻: 13 ページ: 65
10.3389/fnbeh.2019.00065
BIO Clinica
巻: 34 ページ: 68-73
http://p.bunri-u.ac.jp/lab08/index.html
https://researchmap.jp/daihatake926