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2021 年度 実施状況報告書

小胞体膜分子Nogoによる病原性自己抗体産生の新たな制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K08874
研究機関愛知医科大学

研究代表者

乾 匡範  愛知医科大学, 医学部, 講師 (80443985)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2023-03-31
キーワード自己抗体産生 / 自己免疫疾患
研究実績の概要

抗体産生細胞であるB細胞の寛容機構の維持が破綻すると,病原性自己抗体の産生が誘導され全身性エリテマトーデス(SLE)など様々な自己免疫疾患の発症につながる。そのためB細胞の寛容誘導機構を解明することは自己免疫疾患の新規な治療法の開発に不可欠である。申請者らは小胞体膜タンパクであるNogoがマクロファージに発現し,核酸認識TLRの細胞内輸送に関与すること,核酸認識TLRシグナルに必須であることを明らかにしている。しかしながら,小胞体膜分子NogoのB細胞の核酸認識TLRシグナル,さらには自己抗体産生における役割は依然明らかになっていない。Nogo遺伝子欠損マウスをSLE様の自己免疫症状を呈する疾患モデルマウスであるBXSBマウスに戻し交配したBXSB.Nogo欠損マウスの解析において,BXSB.Nogo欠損マウスは血中総IgG抗体価に変化を認めないが,有意に抗ds-DNA IgG抗体価が減少すること,一方,血中総IgM抗体価および血中抗ds-DNA IgM抗体価はいずれも有意に減少することを見い出した。また,in vitroでの誘導系においてNogo遺伝子欠損B細胞はIgG1へのクラススイッチに減少傾向が観察された。そこで本年度は,生体内においてクラススイッチした形質細胞について調査した。骨髄や脾臓での全形質細胞数やクラススイッチした形質細胞数をフローサイトメトリー解析により計測したところ,Nogo遺伝子欠損マウスと野生型とを比較して有意な違いは認められなかった。このように,Nogoは自己抗体を産生するB細胞の機能やクラススイッチを制御する可能性が考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

科研費取得後に自身の異動(所属研究機関の変更)があったため,研究の進行にやや遅れが生じている。

今後の研究の推進方策

マクロファージにおいて,小胞体膜分子Nogoによる核酸認識TLRのシグナル制御機構と新規会合分子GRAMD4を同定することに成功した。また,TLR7遺伝子をコードする領域の重複によりSLE様の症状を呈する自己免疫疾患モデルマウスBXSBにNogo欠損マウスを戻し交配したBXSB.Nogo欠損マウスが有意に減少した血中抗ds-DNA IgMおよびds-DNA IgG抗体価を有することを確認した。しかしながらin vitro誘導系でのIgGへのクラススイッチの効果には減少傾向はあるものの有意な変化がないことを確認した。このようにNogoが自己抗体産生に重要な役割を果たしていることを明らかにしたが,その分子機序は依然明らかになっておらず,生体内での自己抗体産生B細胞への分化,およびクラススイッチにおけるNogoの役割を検討する。さらに,BXSB.Nogo欠損マウスの病態を解析し,自己免疫疾患におけるNogoの位置付けを明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍による研究遅延のため次年度使用額が生じた。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Blockade of checkpoint ILT3/LILRB4/gp49B binding to fibronectin ameliorates autoimmune disease in BXSB/<i>Yaa</i> mice2021

    • 著者名/発表者名
      Su Mei-Tzu、Inui Masanori、Wong Yi Li、Takahashi Maika、Sugahara-Tobinai Akiko、Ono Karin、Miyamoto Shotaro、Murakami Keiichi、Itoh-Nakadai Ari、Kezuka Dai、Itoi So、Endo Shota、Hirayasu Kouyuki、Arase Hisashi、Takai Toshiyuki
    • 雑誌名

      International Immunology

      巻: 33 ページ: 447~458

    • DOI

      10.1093/intimm/dxab028

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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