研究課題
今年度では、EAF2により誘導されるB細胞のアポトーシスがBCL-2により抑制されるかどうかについて解析を行った。胚中心B細胞由来の細胞株Daudiにて、レトロウイルスベクターを用いてEAF2を一過性に過剰発現させると、~30%の細胞がアポトーシスに陥った。この際、同時にBCL-2を発現させると、アポトーシス細胞の割合が半分程度に減少した。即ち、EAF2により誘導されるDaudi細胞のアポトーシスがBCL-2発現により部分的に抑制されることが判明した。今後さらに細胞株の種類を増やして、EAF2とBCL-2の機能的相互作用を明らかいにしていきたい。また、EAF2のターゲット遺伝子についても解析を進めた。その結果、EAF2がB細胞機能に密接にかかわる複数の遺伝子の発現を制御していることが分かった。今年度はさらに加齢EAF2欠損マウスにおいて、新たに以下のことが判明した。12か月齢のEAF2欠損マウスにおいて、腹腔および腋窩リンパ節が著しく肥大し、同月齢のWTマウスのリンパ節に比べ、細胞数が約4倍に増えていた。さらにFACSで調べたところ、EAF2欠損マウスのリンパ節に含まれている細胞の約80-90%がB細胞であった。即ち、加齢に伴い、EAF2欠損B細胞が異常増殖していることが明らかになった。今後、EAF2欠損マウスのリンパ節の組織染色やクローン増殖の有無について解析し、これらの異常増殖しているB細胞の性質を明らかにしていく。
2: おおむね順調に進展している
一部の実験は若干遅れているものの、新たに加齢マウスにおいてB細胞の異常増殖が見られた。全体としては順調に進展している。
今後は、1)EAF2とBCL-2ファミリーの機能的相互作用の解析;2)EAF2ターゲット遺伝子の絞り込みと機能解析;3)加齢EAF2欠損マウスのリンパ節で異常増殖しているB細胞の性質の解明。これらの項目に重点を置いて研究を進めていく。
理由:次年度では、マウスを用いた実験が予定されており、多額なマウス飼育費及び解析費用が必要なため、今年度の実験費用を最小限に抑えた。使用計画:マウス飼育費、肥大リンパ節の解析、病理切片の作製など。
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