平成29年度、実験モデルマウスを用いた詳細な解析の結果、Stat3 ドミナントネガティブ変異マウスでは、1) 現在他のグループによって明らかにされているIgE産生細胞調節機構とは異なる経路でIgE産生細胞の出現が亢進していることを示唆するデータを得たこと、加えて、2)Stat3 変異B細胞を刺激することによりIgE産生細胞の出現が亢進する培養系を構築することに成功し、そのメカニズムがどのようなものであるかを示唆するデータを得ることができた。これらを踏まえ、 どのようなメカニズムによってIgE産生の抑制が破綻しているのかを明らかにするため、(a) 濾胞性ヘルパーT細胞(Tfh)、濾胞抑制性T 細胞(Tfr) の細胞の割合や機能の解析、(b) Stat3 変異B細胞刺激した際にIgE産生細胞の出現が亢進する培養系の詳細な解析を行った。 この研究課題は申請者の離職に伴い廃止に至ったが、研究そのものは所属研究室において継続されるため、詳細は差し控えるが、B細胞においてこれまでに明らかにされていない新たな制御メカニズムが存在することが示唆された。この制御メカニズムがどのような生理活性物質によって誘導・維持されるのかを明らかにするための解析系、スクリーニング系を構築し検討中に廃止に至った。今後、培養系で観察された現象が実際にin vivoにおいて誘導されているかを確認する実験も検討されることが望ましい。
|