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2017 年度 実施状況報告書

病原性真菌による免疫抑制受容体を介した宿主免疫回避機構の解明と治療応用

研究課題

研究課題/領域番号 17K08888
研究機関佐賀大学

研究代表者

三宅 靖延  佐賀大学, 医学部, 准教授 (10392143)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードレクチン受容体 / 免疫回避機構
研究実績の概要

これまでに、免疫抑制型受容体Siglecが病原性真菌であるAspergillus fumigatusと白癬菌のTrichophyton mentagrophytesを認識することを見出していた。他のアスペルギルス属およびトリコフィトン属に関しても検討を行った。その結果、SiglecはAspergillus flavus、Aspergillus nidulansおよびTrichophyton rubrum、Trichophyton tonsuransも認識したことから、アスペルギルス属およびトリコフィトン属を広く認識することが明らかとなった。一方で、臨床的に感染件数の多い病原性真菌である、カンジダ菌やクリプトコックス菌などは認識しなかった。そこで、アスペルギルス属およびトリコフィトン属に共通するSiglecのリガンドの同定を試みた、Siglecはシアル酸を認識する受容体である。しかしながら、アスペルギルス属やトリコフィトン属をシアル酸分解酵素で処理してもリガンド活性は変わらなかったことから、リガンドはシアル酸ではない可能性が示唆された。菌体を溶媒抽出により親水性画分と疎水性画分に分離したところ、後者にリガンド活性が見出された。疎水性画分をTLCによりさらに分画したところ、非常に疎水性の高い分画にリガンド成分が3つ見出された。今のところSiglecが疎水性のリガンドを認識するという報告はなく、新規のリガンドである可能性が考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

病原性真菌ライブラリーを拡充してSiglecのリガンド活性を検討したことで、Siglecによる病原性真菌認識の特異性と一般性を明らかにした。また、リガンドの同定を試み、これまでに報告のない疎水性リガンドである可能性を見出した。

今後の研究の推進方策

TLCにより分画した3つの疎水性リガンド成分に関して、質量分析法と核磁気共鳴法により化学構造を明らかにする。病原性真菌に対する感染防御を担う好中球やマクロファージを用いて、当該リガンドによる免疫抑制活性を検討する。また、これらのリガンドは、アスペルギルス属やトリコフィトン属以外のSiglecに認識されない病原性真菌にも見出されたことから、リガンドの量や局在に関しても検討を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

まとめ買い等により物品経費を節約できたために次年度使用額が生じた。交付額の少ない次年度に合算して使用する予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Apaf1 plays a negative regulatory role in T cell responses by suppressing activation of antigen-stimulated T cells.2018

    • 著者名/発表者名
      Tong, H., Miyake, Y., Mi-Ichi, F., Iwakura, Y., Hara, H. and Yoshida, H.
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 13 ページ: e0195119

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0195119

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Spontaneous chondroma formation in CD2-Cre-driven Erk-deficient mice2017

    • 著者名/発表者名
      Shiokawa Moe、Lu Xiuyuan、Miyake Yasunobu、Ishikawa Eri、Pages Gilles、Pouyssegur Jacques、Ogata Masato、Yamasaki Sho
    • 雑誌名

      Int. Immunol.

      巻: 29 ページ: 479~485

    • DOI

      10.1093/intimm/dxx056

    • 査読あり
  • [雑誌論文] パターン認識受容体としてのC型レクチン受容体2017

    • 著者名/発表者名
      三宅靖延
    • 雑誌名

      臨床免疫アレルギー科

      巻: 67 ページ: 636-641

  • [学会発表] Immune evasion strategy of P. gingivalis via inhibitory receptor, Siglec2018

    • 著者名/発表者名
      Yasunobu Miyake
    • 学会等名
      第6回ITAM Workshop
  • [学会発表] CD2-Cre Tgを用いたErk欠損マウスにおける軟骨の過増殖2017

    • 著者名/発表者名
      塩川 萌、陸 修遠、三宅靖延、緒方 正人、山崎 晶
    • 学会等名
      第3回 日本骨免疫学会
  • [学会発表] Pathogenic fungus, Trichophyton mentagrophytes negatively regulates host immune responses via Siglec receptors2017

    • 著者名/発表者名
      Yasunobu Miyake, Eri Suematsu, Shinobu Saijo, Sho Yamasaki and Hiroki Yoshida
    • 学会等名
      The 5th Annual Meeting of the International Cytokine and Interferon Society
    • 国際学会
  • [学会発表] Immunosuppressive receptor, Siglec binds to pathogenic fungus, Trichophyton mentagrophytes, and negatively regulates host immune responses2017

    • 著者名/発表者名
      Yasunobu Miyake, Eri Suematsu, Shinobu Saijo, Sho Yamasaki and Hiroki Yoshida
    • 学会等名
      第46回 日本免疫学会学術集会
  • [図書] 次世代アジュバント開発のためのメカニズム解析と安全性評価2017

    • 著者名/発表者名
      吉田裕樹、三宅靖延、原博満
    • 総ページ数
      355
    • 出版者
      CMC出版
    • ISBN
      978-4-7813-1238-5

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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