研究課題/領域番号 |
17K08888
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
三宅 靖延 佐賀大学, 医学部, 准教授 (10392143)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | Siglec / 脂質リガンド / 免疫抑制型受容体 |
研究実績の概要 |
マクロファージや樹状細胞などの自然免疫細胞に発現する免疫抑制型受容体Siglec5が病原性真菌を認識することを見出した。Siglec5はシアル酸を認識する受容体であるが、当該病原性真菌にはシアル酸が存在しないという過去の報告があり、さらにはシアル酸分解酵素で処理してもリガンド活性は変化しなかった。従って、当該真菌の認識はシアル酸非依存的と考えられた。Siglec5はシアル酸以外にも、幾つかのタンパク質リガンドを認識することが報告されている。しかしながら、タンパク質分解酵素処理が熱変性処理をしてもリガンド活性が維持されたことから、タンパク性リガンドの可能性も否定された。以上の結果から、新規のリガンドの可能性が示唆された。そこで、生化学的な手法によりリガンドを精製し、構造決定を行ったところ、リガンド成分は複数の脂溶性分子であった。Siglec5が脂溶性リガンドを認識するという報告はこれまでになく、全く新しいタイプのリガンド発見となった。そこで、Siglec5による脂溶性リガンド認識という概念を拡充すべく、哺乳動物細胞に含まれる様々な脂質成分に対してリガンド活性を検討したところ、Siglec5は複数の内在性脂質を認識することが明らかとなった。多くの脂溶性リガンドはSiglecに弱く認識されたが、中にはシアル酸並みに強いリガンド活性を示すものも見つかった。 Siglec5が脂溶性リガンドを認識するという発見により、これまで知られていないSiglec5の新たな生理的病理的な機能や役割が見出される可能性が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、論文投稿のための最終段階まで到達している。
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今後の研究の推進方策 |
既存の内在性脂質で購入可能なものの中から、Siglecが認識する脂溶性リガンドを探索し、幾つかに活性を見出してきた。しかしながら、より強い活性を持つ脂溶性リガンドが他にも存在する可能性も考えられる。そこで、ノンバイアスな探索を行うために、細胞や組織から総脂質を抽出し、その中から活性の強いリガンド探索を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験計画の見直しにより諸経費を削減できたため
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