研究課題/領域番号 |
17K08893
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
大谷 真志 東邦大学, 理学部, 講師 (20383713)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 表皮角化細胞 / mTORC1 / GM-CSF / アミノ酸 |
研究実績の概要 |
本研究は、表皮角化細胞におけるmTORC1を介したGM-CSF発現制御機構の解明と、in vivoにおけるmTORC1を介したGM-CSF発現制御の治療への応用を検討することを目的としている。 前者について、マウス表皮角化細胞株Pam212細胞では、mTORC1は皮膚炎誘導物質刺激に伴うGM-CSF発現を抑制することが明らかになっており、レポーターアッセイによりmTORC1の下流で転写因子Tfcp2がGM-CSFの転写を抑制している可能性が考えられた。そこで、ウイルスベクターによりTfcp2をPam212細胞に過剰発現させたところ、GM-CSFのmRNA発現は20%ほど抑制された。しかし、mTORC1を活性化させた時はGM-CSFの発現は60%ほど抑制されていたことから、Tfcp2以外の転写因子の関与が予想された。mTORC1との関与が知られているStat3に着目して実験を行ったところ、mTORC1はStat3の活性化を促進する一方で、阻害剤でStat3の活性を抑制するとGM-CSFのmRNA発現が低下したことから、Stat3はmTORC1を介したGM-CSFの発現抑制に関与していないことが明らかとなった。 後者について、in vivoにおいて皮膚表皮角化細胞のmTORC1活性の変化がGM-CSF発現の変化を誘導するかを検証するため、mTORC1阻害剤をマウスの耳の皮膚に塗布して免疫組織染色によりmTORC1の活性状態を解析した。未処理の皮膚では表皮角化細胞において恒常的にmTORC1の活性化が認められた。しかし、mTORC1阻害剤を塗布してもその活性化は抑制されなかったことから、薬剤処理の方法を検討する必要がある。今後、in vivoにおけるmTORC1の活性制御法を確立した後にGM-CSF発現への影響を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Tfcp2によるGM-CSF発現制御の可能性については、ノックダウン法を用いた解析を行うことで明確な結果が得られると思われる。皮膚におけるmTORC1活性制御法については検討する必要があるが、免疫組織染色によるmTORC1の活性評価系が構築できた。
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今後の研究の推進方策 |
皮膚における薬剤塗布によるmTORC1活性制御法の検討として、薬剤を軟膏に含ませ塗布することで薬効に持続性を持たせることで改善できると予想される。軟膏の作製はノウハウを持つ共同研究者に依頼する。それ以外は、研究計画の大きな変更や遂行する上での課題は特にない。
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次年度使用額が生じた理由 |
In vivo解析の遅れにより、マウスの維持や消耗品の費用が予定よりかからなかったため。この費用は次年度のin vivo解析での使用を予定している。
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