本研究の目的は専門職連携教育(Interprofessional Education、以下IPE)をクリニカル・クラークシップに導入し、実際の臨床現場におけるチーム医療実践能力の向上を目指すプログラムを開発、その教育効果を検証することである。千葉大学では2015年からクリニカル・クラークシップへ医・薬・看護学生が参加するIPEプログラム(クリニカルIPE)の試行を行ってきた。従来、臨床現場での実習では各学部の学生はそれぞれ別の患者を受け持ち自職種の指導者からのみ指導を受けるという教育方法であった。それに対しクリニカルIPEでは異なる学部の学生が同じ患者を受け持ち、チームとして患者ケアを行い、指導する側も学生チームの指導を行うという教育方法である。本研究では、クリニカルIPEの必修化を念頭に、さらに参加人数と実施期間を増やし実施面での課題を検討する。さらに学生の専門職連携能力の向上を評価尺度CICS-29を用いて測定し、プログラムの有用性を検証する。2016年度に実施したクリニカルIPEの臨床指導者に対するインタビュー調査結果を解析し、2017年度にクリニカルIPEの効果と実施上の課題に対する分析結果を得、学会報告を行った。2018年度、2019年度はそれぞれ7月にクリニカルIPEプログラムを9病棟および10病棟で実施した。参加した学生と臨床指導者に対し、実施後アンケート調査を実施し解析を行った。その成果については、国内外で学会発表を行い、論文を作成中である。さらに卒業時CICS-29調査とクリニカルIPEの関係性についても現在までの結果を総合して解析中である。今後は、日本における看護学教育のカリキュラム再編の動きと合わせ、各学部におけるカリキュラム調整を継続し、必修化への活動をさらに検討していく予定である。
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